昨日は欧州序盤に中国が対米報復リストを公表したことで、大きなリスク回避が起こった。グロベックスでの米国株は大幅安になって、ドル円も急速に値を下げてきた。しかし第一歩は明確な106円割れを回避できた。
それでもドル円やユーロ円は安値ではいつくばっている。私もドル円を何度か売っては少量の利食いをしていたが、次に売るのは105円台に突入してからだろうという動きとなった。相当に106円台の前半でのドルショートもたまってきているはずだ。ちょっと新規には売り込みづらい。
アメリカの経済指標はいくつか出たが、それらに反応することはなかった。最近はリスク性の高い金融商品の代表としての株価の値幅がとても大きい。大きく上がったと思ったら、次には大幅下落をしたりする。
これが最近のパターンだ。中国問題がマーケットのトピックになっていて、それにしたがって大きく相場が動いているのだから、個々の経済指標なんかには反応しても仕方がないといったところ。
株価はそれだけ大きな変動をしている割には、コアレンジは変わっていない。それは結局のところ、米中ともに本格的な貿易戦争をやるつもりがないのが透けて見えるからだろう。アメリカから出てきた制裁リストも中国から出てきたものも、内容を見るともう古い品目ばかり。グッズばかりだ。
なくてもよいとまでは言わないが、輸入がストップしても他国からの代替で済む品物ばかりであり、5兆円規模とかいうと大きそうに見えるが、全体の貿易量の2%とか3%程度でしかない。核心のソフトウエア、サービス部門、そして知財権にはまったく触れていない。
こちらの占める輸出入額のほうが圧倒的に大きいわけだが、巧妙にやったふりだけをして紛争を回避しようとしているのがうかがえる。中国もWTOに訴えるとか言っているが、そもそもミッキーマウスの無断使用とかニセ・ガンダムなど問題を起こして欧米から訴えられているのは中国のほうである。まともな対応ではあるのだが、中国がやると滑稽である。
そして昨日の米国株は大幅安で始まったにもかかわらず、総じて買い戻しばかりが出てきて株価は見事に反転、上昇することとなった。ドル円もやっぱり106円台の前半が底値となってしまって、106円台の後半まで押し返されてニューヨーククローズを迎えている。
ドル円は前回も戻しが107円ちょうどタッチだけで、上値トライには失敗している。キャップされている格好だ。107円台に乗せてきても、107.20あたりまではとても買い進んでいけない。
それだけドル円の上値は限定的だろうという思いのほうが強い。ともかくも上下に流れの変わりやすい状況が続いている。どちらに動くにしても、どちらでも構えられるように決め打ちしないで臨みたいところである。
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