だいぶ米中の貿易問題に関しての緊張感が和らいできた。報復関税の制裁リストを見ても、とても本気で貿易戦争をしようとしているように見えないからだ。
北朝鮮問題と同じで、強気なことだけを言ってアピールはするが、結果は従来と同じようなものにならざるを得ないことを先取りしているのである。つまり今、アメリカを中心にして行われている政治はパフォーマンスでしかないということ。
それで昨日のアジア時間でもリスクテークの流れは続き、日経先物も一段高。ドル円は106円台の後半をキープし、たくさんのオファーが並んでいるといわれる107円台の前半に向かっていった。欧州序盤ではドル円は107円台に乗せてきて、小じっかり。徐々に107.20までに並んでいる売りインタレストを食っていった。
さすがにここをこなして上方向を攻めるには時間がかかった。私も107.02でショートにして107.22で買い戻しストップを置いて勝負を仕掛けていたのだが、結局はまったく下がらずで損切りを強いられた。
つまりニューヨーク序盤でドル円は軽く上抜けしたということであった。米国株も堅調で、マーケットのリスクテーク地合いは最後まで継続。ドル円は最後まで押し目を作らずに高値は107.48まで上がった。
今日になってアメリカサイドから追加の関税品目の話が出てきた。これがリスクオフ要因となっている。ドル円は値を下げてきており、激しくはないが重い足取りとなっている。ちょっと上値サイドにシコリを残した格好だ。
今晩はアメリカの雇用統計だ。それまでは様子見の姿勢が続くので、マーケットは動きが鈍くならざるをえない。雇用環境が良いことはすでに周知のとおりであるので、マーケットの関心事は賃金上昇を含めインフレ率のほうに移っている。
これが大きめに出てしまうと景気は良いのだが、利上げペースの速まりを意識させられることとなって株価にとっては利食い売りの理由を与えることになる。もちろんFRBの見解が調整されることを見越してのことだ。
賃金の上昇率はプラス0.2%が見込まれている。本来ならば小数点第2位の在り方を検討すべき微妙なところなのだが、マーケットは最初に出てきたニュースにしか反応しない。だから四捨五入した後のプラス0.3%でもかなり大きなインパクトがあるはずだ。そうなると株安に加えて、金利上昇を見込んだユーロドルの下げも始まるだろう。
ドル円もドル的には上がりたいところだろうが、リスク回避のポーションも重い。しかるにドル円は下がり、ユーロ円も下がっていくという順番で推移するものと思われる。それ以外の失業率や就業者数には反応しないだろう。それよりも中国との貿易戦争のほうが大事だからだ。
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