昨日のアジア時間ではドル円は本当に小動きだった。109.25から109.35までの間でしかなく、動いているのかどうかもわからないほど。ドル円も今年の半値をやや上回ってきて、もうちょっと上げのピッチが速くなるものと思われたが、依然として利食い売りは着実に出てくるようで、すんなりと上がっていかない。
それは一方ではユーロドルが同じくドル高に傾いてきたといっても、ここ数カ月のコアレンジである1.20台から1.25台という状態から脱しきれていないからであろう。まだドル相場のフレッシュゾーンというわけではないのである。だから新規にドルロングで攻めづらい面もある。また翌日に控えた南北首脳会談のありようを見極めたいという思いもあるのだろう。
ドル金利は上昇が一服しているが、状況としては高い水準での張り付きである。米国では金利上昇がマーケットのトピックとなっており、株価の反応も教科書通りだ。つまり金利高は企業コストの増大をもたらすということで、株価にはマイナスの作用をする。
それで調整気味となってきた米国株と違って、日本株だけは逆行高を繰り返している。それがアジア時間でのリスク相場の状態を不明なものにしているのも事実だ。
海外市場ではドル高基調のなかでも、ユーロドルの下げが目立つこととなった。これはドラギ総裁が資産購入の減額の在り方などについて、かなり消極的な姿勢を示したからだ。「必要ならば9月以降も緩和を継続する」という。
これはドイツ連銀のメンバーの意見とはかなり食い違うが、それでもECBのチーフの見解だ。それがマーケットに反映されたのだろう。ユーロ売りの一面を含んで、ユーロドルは一段押ししたのだ。
米企業決算では大どころはアナリスト予想を上回った。それもマーケットに安心感を与えて、米国株は上昇。それが市場のリスク許容度を増大させえることにつながって、ドル円も今月の高値圏まで上がってきて、そのままニューヨーククローズを迎えた。
今日は昼間から南北会談から何が出てくるかに注目が集まっている。夜の晩餐会までサプライズがあるのかどうかはわからないところなのだが、今までのところは想定の範囲内のことで収まっている。昼間の日銀の金利会合では、マーケットに与える影響はほとんどなかった。
今晩の重要イベントはアメリカのGDPである。予想のコンセンサスではプラス2.4%あたり。これが良いと見えるのか、悪いと見えるのか。トランプ大統領は成長率はプラス3.0%を目指すと公言してきたが、就任以来、一度も達成していない。法人減も行った結果が、そろそろ試される時期に来ている。
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