昨日はアジア時間ではドル円は109円台の後半で小動きだった。国内政治イベントの一つであった国会での参考人招致の発言内容も想定の範囲内だった。欧州序盤でドル円は110円台にタッチしたものの、それは前回のときと同様に瞬間的なものだった。
110円ちょうどというのは心理的な節目でもあるし、オプションなどのストライクも集積してオファーも厚かったのだろう。110円台に触った後は、ドル売り意欲を誘い出したかのようにドル売りのフローが出てきた。それでもドル円は109円台のミドルアッパーで、ユーロドルは1.18台のまま。依然としてドルの高い水準で推移している。
ちょっと流れが変わってきたのはアメリカのインフレ指標が出てからだった。先日のPPIに引き続き、CPIも低めの数字となった。これは利上げペースが早まるのではないかと心配していた資本市場にとっては、格好のリスクテーク材料になった。企業コストの増大に歯止めがかかるからである。
グローベックスでは米国株が値を伸ばしてきた。為替相場ではドルが全面的に売り込まれた。それでもドル売りの幅は限定的だったと言えよう。これまでにドル金利上昇を期待してのドル高が進んできた分に比べれば、である。ユーロドルは1.19台にまで値を戻し、ドル円も下がったが109.30手前まで。
またニューヨーク時間になってアップルが自社株買いを発表した。これがニューヨーククローズに至るまで米国株の腰の強さをけん引した。こうしたリスクテークの要因もあって、ドル円の下値は限定的となって、ニューヨーククローズまでには底堅い動きとなった。
当面のドル円のレジスタンスは110円ちょうど近辺だというのは明らかだ。したがって109円台の中盤から上サイドでドル円をロングにするのは不適当であろう。どうせロング攻めするならば完全に抜けきったところ、つまり110円台に乗せてきってからである。
逆にいうと109円台の後半はショートにしておいてもいいだろう。ここで作ったショートは110円乗せとともにポジションカットする。そしてついでにロング転すればよいだけだ。
今晩は経済指標が少ないので、このようなテクニカル中心の動きとなることが予想される。イラン核合意からの離脱も決まったことだし、シンガポールでの米朝会談も決まった。政治的リスクは少なくなってきているので、そちら方面からのサプライズは少ないものと思われる。
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