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田向宏行
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持田有紀子の「戦うオンナのマーケット日記」

妥協はなく粛々と関税を発動、
ドル円小動きだが対中関税のゆくえケア

2018年07月06日(金)16:04公開 (2018年07月06日(金)16:04更新)
持田有紀子

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 昨日はアメリカの休み明け。マーケットに参加者が少しずつ戻ってくる。昼間に日本株が安値攻めをしたがリスク回避の動きはここまでで、欧州序盤からリスクテークの流れが強まった。

 自動車の輸出に関して、アメリカ側とEU側がお互いに関税をかけないように協議しようということになったようで、それで市場に安心感が戻ってきたのだ。そういうわけで米国株はストロングにスタートした。ドル円も下がらない代わりに、なかなか上値追いもしないでいる。

 BOEのカーニー総裁が「8月までに利上げの材料が出そろうだろう」と評論したことで、ポンドに金利の先高観が出た。そしてポンドは瞬間的にも跳ね上がった。それでも上がる値幅が小さかったのは、イギリスの利上げはかなり予期されたことでもあったからであろう。

 ポンドの上昇に合わせてユーロドルも上がってきた。1.17台に乗せてもきたが、やはり上値は重たかった。ここ最近のレンジが1.15台から1.19台なので、その中間の1.17台はどうしてもネックラインとしてワークするのだろう。つまり高いところのロングを持っている人にとっては逃げのオファーを出さざるをえないところということ。

 今日の午前中にいきなりオウム関連の死刑囚が、刑を執行されたという報道が出た。これは死刑囚が各地の刑務所に分散配置されたことで、もう間もなくだなと予想はされていたことだが、ついにやったかという感じでもある。とくに市場に影響を与えることはないのだが、サリン事件の起こった1995年はたいへんな荒れ相場だったことが思い出された。

 そもそも1993年から日本では戦後初の政権交代もあって、バブル崩壊直後の経済対策をうまく打てないでいた。1991年にNTT株の大崩れがあって、日経先物は14800円台まで突っ込んだ。その後の戻りが2万円の大台をやっと超えるくらいまで。

 そうした状況の中で1995年を迎えたのだが、1月早々に阪神大震災に見舞われた。日経先物は2万円の大台を再び割り込んできた。そして2月にはベアリング証券の不正問題。シンガポールのトレーダーが日経先物でズルをしていたというのだ。

 投資対象が日経先物であったことも手伝って、一気に18000円を下回ってきた。そこに起こったのが3月のオウム事件であった。為替相場ではドル円が80円割れを喫する。今でいえばリスク回避なのだが、当時はキャリートレードという言葉もなかった。相場を語るファンション的なものの目まぐるしい変化に、この20年以上の時間の重さが見える。

 昼の13時に対中関税が発動された。それを前に両者で賢明な妥協が図られるのではないかとの実に楽観的な観測もあったが、まったくの徒労だった。今晩は雇用統計である。金融政策を左右しないことはわかっているので、注目度は薄い。

 しかし昨日、出た雇用関連のデータがいずれも悪かったことが、ちょっと気になるくらい。就業者数は19万から20万人の増加が見込まれているが、下回ってくることが大いに予想される。そこでどこまでドル相場の下値が持つのかどうか。ドル円で109円台とか見ることになったら、ちょっと驚きである。そこから売りたくなってくるだろうなぁ。

日本時間 16時00分


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