昨日はアジア時間では、ドル円は111円台の前半で推移。そうしても上サイドに抜けていけないだけの重さが感じられた。欧州時間に入ると、その重さが目立ってきて、ドル円は110円台に突入したりもした。しかしユーロドルも含めて、総じて為替相場は小幅な動きにとどまった。それはEUとアメリカの会談の結果待ちのためだった。
アメリカとEUの代表者同士の会談は、大方の予想通り、二人で握手してにこやかに終わった。合意できたのは工業製品の関税を撤廃に向けて努力すること、EU側が米国産の大豆やLNGをもっと多く輸入するべきことなどである。
予想された落としどころよりももっと質が悪い感じがしないでもないのだが、それでも両者の合意を見ることができたことを好感してマーケットは一気にリスクテークに向かった。ニューヨーククローズ間際に米国株は大きく上昇し、ドル金利も目立って低下にした。ドル相場も下げるには下げたが、ダイナミックな動きではなかった。
しかし1時間おいての早朝のマーケットでは、その反動が出てきている。グローベックスでの米国株は調整売りが入り、大きく値を下げている。会談から出てきた内容に大したものがなかったことを反省しているのかもしれない。
EUとの対立に見せかけているのも、単なる政治的なパフォーマンスなのだろうということになると、買い上げた分のリスク回避は出てきても不思議ではない。
ともかも重要なのは、EUとの会談が終わってドル相場が上がらなかったという事実である。これが何を意味するのかは後で講釈されることであって、今の眼前の相場に向かってはドルの戻り売りスタンスで臨まないといけないということになる。ドル円でいえば下値のメドがどこまでだ、と枠をはめずにしばらくは見ていかないといけないだろう。
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