資産形成に有効な「コア・サテライト戦略」とは?
「資産形成を考えるなら、ぜひコア・サテライト戦略を知ってほしいんです」
そう強調するのは、IG証券のシニアFXストラテジスト・石川順一さんだ。
「長い目で資産を増やしていこうと考えるとき、有効なのが『コア・サテライト戦略』なんです。資産の80%ほどは『コア』としてリスクの低い国内外の株や債券などに分散投資し、安定的な運用をめざします」
このときに頼りになるのが投資信託やETF。投資の王道とも言える「国際分散投資」だ。
ザイFX!で日ごろ扱うFXやCFDなどは、大きなリターンが狙える反面、リスクも大きめの金融商品。でも、金融市場には投資信託やETF、債券、REITなど、リスクが控えめの商品もある。
「サテライト」では大きなリターンを狙う!
「しかし、コアとなる分散投資だけだと短期間のうちに資産を大きく育てることは難しい。そこで残り20%はハイリターンを狙って為替や株、債券、コモディティなどでトレードするんです。このトレードに回す部分を『サテライト』と呼びます」
コアとなる資産の周囲をトレード対象となる資産が衛星のように巡航するイメージだ。コアの部分の方法論となる国際分散投資については説明しつくされているし、銀行や証券会社の店頭でも説明してくれるはず。課題となるのは「サテライト部分で何をどうトレードするか」だ。
世界の膨大な銘柄群を取引できるサテライト向け口座
「『サテライト』部分のトレード対象は短期で利益獲得が可能な金融商品ですが、理想的には『サテライト』部分においても複数資産クラスのポジションを保有できればリスクヘッジが可能な他、利益獲得機会を倍増させることもできます」
「サテライト」のトレードでは、短期で収益チャンスがあり、複数資産クラスに多彩な銘柄があることがキモと聞くと、IG証券の取扱い銘柄数が気になってくるが…。
「IG証券のCFDは銘柄数が約1万。日本や海外の個別株、世界の株価指数、金や原油などのコモディティ、それに債券などをすべて1口座で取引できます」
IG証券のCFDでは、日本や海外の個別株、世界の株価指数などを取引することができる。その数は約1万銘柄にも及ぶという
石川さんはサラリと言っていたが、約1万というのはスゴい数!
みずほフィナンシャルグループでもスタートトゥデイでも、フェイスブックでもコカコーラでも、WTI原油でもイタリア国債でも、米ドルでもブラジルレアルでも、取引したいと思ったら、IG証券1社の口座ですべて完結できるというわけだ。
つまり、コア・サテライト戦略をとるとき、IG証券のCFDは大きな優位性を持っている、ということだ。
「投資の神様」のポートフォリオを少額で完全コピー
「IG証券では個別企業の銘柄も豊富です。たとえば、バークシャー・ハサウェイという会社がありますよね」
「投資の神様」とも称されるウォーレン・バフェットの率いる会社がバークシャー・ハサウェイだ。
「バークシャー・ハサウェイはニューヨーク証券取引所に上場しているため、保有する株式ポートフォリオはアニュアルレポート(年次報告書)などで見ることができます。それを見ながら、バフェットと同じポートフォリオを組むこともできますよね」
2017年度のアニュアルレポートに記載された保有銘柄上位が下表だ。
(出所:バークシャー・ハサウェイ 2017年度アニュアルレポートより)
アメックスやアップル、バンク・オブ・アメリカ、コカ・コーラなど名だたるグローバル企業がズラッと並ぶ。
世界の会社情報を調べるのに最適な検索機能がある
「アメリカの大型株が中心ですが、よく見るとBYD(比亜迪)のような中国企業も含まれています」
「BYDってどんな会社?」と思ったら、IG証券のホームページにある「銘柄検索」を利用してみよう。
IG証券の個別株CFDで扱われている銘柄なら、企業の概要や財務情報、決算発表予定、関連ニュースなど、豊富な情報が表示されるのだ(銘柄検索はログインしてから行った方が詳しい情報が表示される)。
一部、英語は混じるが、米国株でも中国株でも欧州株でも、国籍を問わず一括で検索できるのってかなり便利。CFD取引の参考にするのはもちろん、ニュースを読んでいて、「これ、どんな会社?」と思ったときにも使えそう。
今が旬のネットフリックスやAmazonも簡単に取引できる!
「BYDは香港市場に上場する会社で、スマホ向けや電気自動車向けの電池を主力とする世界的な大手です。中国株を日本から取引できる機会は多くありませんが、IG証券のCFD口座ならFXと同じように手軽に取引できます」
バフェットのポートフォリオをコピーするのもIG証券なら容易だ。取扱銘柄数が約1万と多いから、バフェットがマイナー銘柄に手を出そうと取引対象にできるし、それに個別株CFD口座では世界の株式を1株から取引可能。レバレッジもかけられるから、資金が少ない人でも「バフェット完コピ」がしやすい。
「バフェットだけでなく、ジョージ・ソロスやその他の有名ファンドもインターネットを検索すると、そのポートフォリオを探ることができます。
たとえばジョージ・ソロスであればAmazonやネットフリックスなど、バフェットとは毛色の違う銘柄を保有しているとされます。こうした銘柄も、もちろんIG証券の個別株CFD口座で取引できます」
バフェットのポートフォリオをコピーするのもIG証券なら簡単だと話す石川さん。IG証券のCFDは取扱い銘柄数が約1万と豊富なので、伝説の投資家のポートフォリオも「完コピ」できる
IG証券では取引ツールもバージョンアップされたばかりで、最新の「HTML5」を導入し、サクサクと軽快に動いてくれる。気になる銘柄は銘柄リストにどんどん放り込んでいこう。
ただし、IG証券の個別株CFD口座では買いポジションに対して「ファンディングコスト」と呼ばれる金利の支払いが発生する。日々の金額は小さいが、長期保有の場合は重石となってくるので気をつけよう。
FXで稼ぐなら「マルチアセット戦略」を取り入れて!
「サテライト部分では株だけでなく、もちろんFX取引も有効ですし、コモディティなども絡めた『マルチアセット戦略』はいかがでしょうか。
たとえば、米国株と米ドル/円。この2つは相関して動くことがありますし、金(ゴールド)と米ドル/円は逆の相関となるケースがあります」
米国株の急落がリスクオフを誘って円高が進行する、なんてことは珍しくないし、米ドルと金が逆相関の関係にあるのは広く知られたところでもある。
「そうした異なるアセット間の相関を見ていくと、米ドルを買うと同時に金を売る、米国株指数を売ると同時に米ドル/円を売るといったように取引のチャンスを増やすことができます」
アセット間の相関を知っておくと収益チャンスを増やせるし、高金利や値幅の大きさで人気の新興国通貨でも相関を意識することで収益効率を高められそうだ。
新興国通貨は高金利だけに目を奪われてはダメ
「新興国通貨は金利の高さが大きな魅力ですが、裏返すと『高金利にしないと資金が集まらない』ということでもあります。
金利だけに目を奪われず、経済や財政、政治の状況などから見極めないといけません」
たとえばトルコリラ。17.75%の政策金利は魅力だが、アメリカとの対立や独裁的な体制、財政赤字など、さまざまなリスクの高さが敬遠されたのか、トルコリラのレートは右肩下がりだ。
(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部が作成)
「メキシコペソも7.75%と高金利ですが、トルコリラとは対象的に堅調に推移しています。経済的にも安定していますし、12月に発足するロベスオブラドール政権の財政改革への姿勢も評価されているようです。
4月以降、米ドル高の圧力が高まっていますが、その局面が今後続いてもメキシコペソは買われやすい傾向が続きそうです」
(出所:IG証券)
原油を指標にするとロシアルーブルがトレードしやすい
もうひとつ、注目しておきたい通貨がロシアルーブルだ。
「ロシアも政策金利7.25%と高金利ですが、注目したいのは原油との相関性。ロシアルーブルは長期的に見ると原油価格と相関しやすい傾向があります。実際、7月以降、原油価格の上値は重くなっていますが、この動きに連動し、ロシアルーブルも同様の展開となっています。
原油価格をひとつの指標として活用すればロシアルーブルはトレードしやすいですね。ただし、相関性が高いということは原油価格が思惑とは逆に大きく動く場合、思わぬ損失を被るので要注意です」
扱うFX会社の少ないロシアルーブルだが、IG証券では対米ドル、対ユーロ、それに対円の3通貨ペアが取引可能だ。WTI原油と合わせてマルチアセットで監視してみよう。
「そのままWTI原油をトレードしてもいいですよね。IG証券の商品CFD口座では、原油相場の指標として使われることが多い、WTI原油と北海原油の2銘柄が取引できます」
(出所:Bloomberg)
原油価格を考えるときのポイントとは?
原油価格を考えるとき、ポイントとなるのはなんだろうか?
「大きいのは需給関係ですし、需給を決める要因となるのがOPEC(石油輸出国機構)です。
OPECは2017年から需給のだぶつきを解消するために、協調減産を行なうことで原油価格を上げてきましたが、方向転換も近いのかもしれません」
原油が上昇トレンドから転換するのなら、相関しやすいロシアルーブルには悪材料では?
「WTI原油は60ドル台を中心としたレンジになるのかもしれません。そうなればロシアルーブルもレンジとなり、スワップ金利を享受しやすくなりますよね」
ただし、新興国通貨の値動きは激しい。先日もトルコリラが荒ぶったばかりだし、リスク管理はしっかり行なっておく必要がある。不利に動いたときにどこで撤退するかを決めておき、逆指値注文をしっかり入れておくことは欠かせない。
窓あけや急変時でもスベらない超便利な注文方法がある
「ただし、逆指値を入れておいても急騰、急落時にはスリッページが発生したり、月曜日のオープン時に窓をあけて始まると、思ったレートで決済できないリスクがあります。
それを防ぐのに、ぜひ活用してほしいのが『ノースリッページ注文』。保証料を支払うことで指定したレートで100%決済できる注文方法です」
逆指値注文を入れておくことが重要だと話す石川さん。IG証券では、保証料を支払うと指定したレートで100%決済できる注文方法、ノースリッページ注文がある
IG証券の独自機能であるノースリッページ注文。米ドル/円であれば1万通貨あたり100円程度の保証料で、月曜日に窓があいたとしても指定したレートで必ず約定してくれるリスク管理に便利な注文方法だ。
「ノースリッページ注文が約定する前に手動で決済すれば、保証料はかかりません。『保険』としてぜひ使ってほしい機能です。
サテライト部分の運用はリスク管理が非常に大切ですから、損切りは必須ですし、想定以上の損失を被らないためにノースリッページ注文が必ず役立つと思います」
【参考記事】
●ストップ注文が絶対にスベらない新機能! 月曜早朝に為替レートがぶっ飛んでも安心
フェイスブック急落の損害もノースリッページ注文なら防げた!
ノースリッページ注文が使えるのはFXだけではない。よりボラティリティの大きい個別株でも有効だ。
「7月下旬、フェイスブックが発表した決算の内容は投資家の失望を誘い、一夜にして13兆円の時価総額を失いました。下げ幅にして23%の急落です。しかも下落したのは市場が閉まったあとの時間外取引でした。
しかし、IG証券ではフェイスブックなど主要銘柄は時間外でも取引可能ですし、ノースリッページ注文を使えば窓をあけて下落するような場面でも、しっかりと狙ったレートで約定します」
個別株CFD口座で銘柄名のあとに「All Sessions」と書いてあったら、時間外取引が可能だということ。市場が閉まったあとに決算が発表されても対応できるから、リスク管理がしやすいだけでなく、取引の機会も増やしてくれる。
(出所:IG証券)
売りから入れるのが重要! 貿易より大きな米中対立軸とは?
では、現在の市場環境だと、どんなサテライト戦略が有効なのだろうか?
「日本は金融緩和中ですし、ユーロ圏の利上げもまだ先。利上げを粛々と進めるアメリカのアセットへグローバルマネーが流入しやすい環境で、そう考えると米国株を買っておきたいところです」
しかし、気をつけておきたいのが米中間の対立だ。
「今、顕在化しているのは貿易摩擦ですが、貿易だけに限った小さな括りで考えると本質を見誤ります。現在の米中対立はより大きな価値観の戦いです。第二次大戦後、ブレトンウッズ体制、そして、米ドルを基軸とした国際通貨体制へと変遷してきましたが、中国は今、この秩序に挑戦しようとしています」
通商政策の対立だけなら、いずれ沈静化するだろうが、価値観の戦いとなると対立は長期化する可能性が高い。
「そう考えると、サテライト戦略では『売りから入れる』ということが非常に重要になります。それができるCFD口座は必須ですね」
米中間の対立に注目しているという石川さん。ただし、貿易だけに限った小さな括りで考えると本質を見誤るという。どうやら、現在の米中対立はより大きな価値観の戦いとなっているようだ
目先では11月に米中間選挙も控えているし、日銀の政策転換も近いのかも。これから資産をしっかり増やしていくなら、IG証券を活用しながらコア・サテライト戦略を実践していこう。
中間選挙を控え、米中対立が激化、ボラティリティが高まるかも。IG証券を利用しながらコア・サテライト戦略で賢く稼ごう。
(取材・文/高城泰 撮影/和田佳久 編集担当/ザイFX!編集部・庄司正高)
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