■IG証券が「ノースリッページ注文」をリリース
突然ですが、みなさんはスリッページを経験したことはあるだろうか?
スリッページとは、狙ったレートと実際に約定したレートに差が出る現象、またはその差自体のことで、「すべる」なんて言い方をされることもある。
【参考記事】
●あなたは経験したことがありますか? 怪しいスリッページやレートずらしを…
そして、このスリッページには、有利な方向に動く「ポジティブスリッページ」と不利な方向に動く「ネガティブスリッページ」がある。
でも、「約定レートがすべった!」と聞いて、「ネガティブスリッページ」を想像してしまう人のほうが多いのでは?
そこで今回紹介したいのが、2017年7月3日(月)にIG証券からリリースされたばかりの「ノースリッページ注文」だ。
この「ノースリッページ注文」は、一定の保証料を支払えば、ストップ注文(逆指値注文)がスリッページせず、必ず指定したレートで決済されるというもの。つまり、「ノースリッページ=すべらない」ということなのだ。
IG証券はFXの取扱い通貨ペア数が97ペアとかなり多く、また、CFDの銘柄数は約1万1000銘柄とメチャクチャ多くて、こちらは業界ナンバー1だが、今回リリースされた「ノースリッページ注文」はFXでもCFDでも使える注文方法となっている。
■ストップ注文は通常はスリッページが発生しても仕方ないもの
スリッページが発生しないと謳っている、約定力の高いFX口座といえば、マネーパートナーズ[パートナーズFX]がよく知られている。当コーナーでもこれまで何度も紹介してきた。
【参考記事】
●スリッページ発生率0%の口座がついに米ドル/円0.3銭原則固定にスプレッド縮小!
ただ、約定力の高いマネーパートナーズ[パートナーズFX]といえども、すべての注文方法でスリッページが発生しないわけではない。スリッページが発生しないのは、PC版取引ツールからのストリーミング注文の場合に限定されているのだ(※)。逆にいえば、ストップ注文など、それ以外の注文方法ではスリッページが発生することもあり得るということになる。
(※2016年12月上旬に実施された矢野経済研究所の調査結果に基づく)
また、約定実績99%以上(※)をアピールするなど、約定力の高さに自信を示している口座としては、FXプライム byGMO[選べる外貨]も挙げられる。
(※2021年に4月におけるFXプライム byGMOの実績)
ただ、そんな約定力に自信を見せるFXプライム byGMOといえども、公式ウェブサイトで逆指値(ストップ)注文は「スリッページする」と明記されているのだ。
このあと、詳しく説明するが、一般にストップ(逆指値)注文はスリッページが発生しても仕方なしと考えられている。
ところが、今回導入されたIG証券の「ノースリッページ注文」は、なんと、そのストップ注文がまさに対象(※)。ストップ注文でスリッページが発生しないというのだからオドロキだ。
とはいえ、最初に書いたとおり、スリッページが発生しない代わりに、一定の「保証料」はかかるので、その保証料がいくらになるかがカギとは言える。でも、その保証料も結構リーズナブルな値なのだ。これについてはのちほど詳しく説明することとして、ここでは「ノースリッページ注文」の対象となるストップ注文のしくみを解説しておこう。
(※IG証券はレートを見ながら、その場で注文する「マーケット注文」においてもスリッページが発生しないと謳っているが、これは顧客の注文価格と同じか有利な方向にレートが動いた場合は約定し、顧客に不利な方向へレートが動いた場合は約定しないという意味。また、「マーケット注文」は先ほどマネーパートナーズ[パートナーズFX]を引き合いに出したときに出てきた「ストリーミング注文」と基本的には同じ注文方法)
■ストップ注文が指定したレートで約定するとは限らない理由
下の画像をご覧いただくとわかりやすいが、ストップ注文とは、トリガーの価格に到達したら成行注文が出されるしくみだ。

(出所:IG証券)
ストップ注文を入れたレートというのは、そこで約定するレートではなく、トリガーがひかれるレートということになる。
そして、成行注文は「なんでもいいので約定して!」という、レートよりも約定が優先される注文方法であるため、ストップ注文を入れたレートで必ず約定することが保証されているわけではない。
むしろ、ストップ注文はチャートポイントに設定することが多く、それが約定するような場面では、相場がその方向に勢いよく動いていることが多いと思われる。したがって、不利な方向へのスリッページも発生しやすくなることが考えられるのだ。

(出所:IG証券)
このような事情があるため、ストップ注文ではスリッページがある程度発生しても当然と考えられている。そして、ザイFX!が調べた限り、ストップ注文でもスリッページが発生しないと謳っているFX会社はこれまでなかった。
ところが今回、IG証券はよりにもよって、スリッページが発生して当たり前と思われていたストップ注文において、スリッページが発生しない「ノースリッページ注文」をリリースしたというわけなのだ。これは確かに日本、唯一のサービスだと思われる。
以下の画像は、IG証券で買いポジションを保有し、「ノースリッページ注文」を設定したときのイメージだ。

こちらをご覧いただくとわかるように、「ノースリッページ注文」を設定しておけば、指定したレートで必ず決済されるので、自分の想定以上に損失が拡大することがない。
ではここで、過去にスリッページが発生して…
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
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