このところドル円が底堅い。マーケットにある二つの不安、すなわちトルコやベネズエラをはじめとする新興国不安と、後はアメリカが仕掛けている貿易戦争、これらが消極的な理由となって米ドルが選好されているのかもしれない。
本来ならば市場のリスク度合いが高まってくると、ドル円などは下がるべきはずのものである。それが上がっているのだから、不安の対象であるアメリカが買われていると見なければならないだろう。
昨日はニューヨーク序盤で、BREXITにおいて英独が主張を取り下げるという報道が流れた。それでポンドが急上昇。ポンドドルが200ポイント以上も上がった。それがややマーケットの不安心理を解消した。それまでグローベックスセッションで大きく値下げしていた米国株も、反発の兆しを見せた。
世の中的にもどうせ何か妥協点を見いだすだろう、このままハード・ランディングすることはないだろうとの見込みはあったものの、それが現実の形になって表れてきたので、マーケットはそれに飛びついた格好だ。
私は夕方からドル円をショートにして持っていたのだが、このポンド急騰のステージでポジションカットを決め込んだ。言うまでもなくポンド円だけに限らず、ユーロ円も上がってきているのである。
この妥協するかもの話しは後にドイツ側から完全否定のコメントが出てきたが、マーケットは依然として期待しているようで、ニューヨーククローズに至るまでポンドは上がったままの高値圏の状態をキープした。ユーロドルも1.16台に乗せてきて、そのまま高値圏で引けている。
カナダとの交渉はまだ行方がわからない。トランプ大統領は間もなく結論が出るとは言っているが、あまり合意に向けた明るい方の観測記事なども流れてきていない。また中国の関税を引き上げるための各役所からのヒアリングも今日で期限切れとなるということで、2000億ドル相当分の追加関税の発動も視野に入ってきている。現状としてはまだ貿易摩擦に関しては芽が離せないのである。
今晩はいろいろと経済指標が出るが、市場の関心はやはり新興国の通貨安と貿易問題に終始するだろう。基本はドル円やクロス円をショートにしておきたいところなのだが、昨日、持ち上がった分だけ短期的なショートポジションの買い戻し圧力が強そうだ。
つまり逃げのビッドがたくさん並んでいるだろうということ。今朝もドル円は下押ししてみたが、111.20あたりで止められている。本日の日中安値を更新してからでも、売り込んでいくのは遅くはなさそうだ。
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