3日に大きく円高に進んで、それが107円台まで戻ってきての金曜日の市場。日本市場が正月休み明けでご祝儀相場になっていたので、株買いが優勢。海外市場に合わせていないながらも、リスク許容度の増大でドル円も堅調に推移した。夕方になって中国が金融政策の緩和姿勢を打ち出したので、それが一層のリスクテークに拍車をかけた。
ドル円は108円台にまで戻していたが、欧州時間では107円台に後退。それでも再び108円台に乗せてきてアメリカの雇用統計となった。結果は総じて良かったと言うべきであろう。就業者の増加分が30万人の大台に乗せてきたこともあり、まずはこれに素直に反応した。
ドル円もユーロドルも30ポイントほど、ドル高に進んだ。雇用統計の中身を見ると、賃金も予想を上回っている。すでに上がりきっていたグローベックスでの米国株だったが、ここで一段高。ドル円も108.55あたりまで高値をつけた。
私はその後のパウエル議長のトークを見極めてからポジションを持とうと考えていたので、雇用統計スルーでは何もしなかった。そのFRB議長たちの講演のなかで、パウエル議長は「金融政策は状況次第」だと強調した。
これは至極当然のことを言っているのだが、利上げペースを鈍らせることを期待していたマーケットはこれを好材料と捉えたようだ。米国株はいっそうの上昇に向かった。ドル円としては、これはドル売り材料である。ドルのイージングだからだ。
私もドル円を108.31で売ってみたが、株価が高いためリスクテークの作用でドル円がなかなか下がらない。108.10あたりまで下がったが、107円台を見ることなく戻ってきた。これはとまずい思い、私は速攻で買い戻した。ほぼ同値で逃げるのがやっとだった。しかしその後はドルの上値も重い。結局は朝まで108.60つかずで終わっている。
こうなってくるとドル金利の先高感の低下によるドル下げ圧力と、株価の自律反発によるリスクテークのバランス問題に帰着してしまう。この動きは今週いっぱいのマーケットのテーマになることだろう。いよいよ始まる米中の貿易協議の行方も気になるところだ。
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