月末のFOMCでの利下げ期待を控えて、経済指標は重要度を増してきている。いかんせん、大事な6月のFOMCで何もやらなかったのだ。それがイレギュラーな時期である7月に利下げを行うためには、それだけの材料が必要となる。
金融当局者はいつも「データを見てから」というが、利下げを強力に後押しするだけの経済データがどのくらい出てくるのか。まずは月初の雇用統計は予想を飛び越えて良かった。さて次は小売りや消費関連のデータである。大きなものは小売売上高だ。それが昨日、発表されたが、これまた良かったのである。
ドル金利は上昇して、為替相場ではドルが全面高となった。米国株も利下げ期待の薄らぎで、利食い売りに押される格好となった。ドル円は107円台に沈んでいたものが、反発に向かった。108円台はなかなか重たいと言いながらも、ドル金利の低下が見られない状態では、ドルを突っ込んで売り込んで行く意気込みも出てこないようだ。
ドル関連のマクロ指標に限らず、今週からは米企業決算が発表されるというミクロの事情も重なってきている。昨日はGSやJPモルガンなどの大どころが出たが、いずれも利益はアナリスト予想を上回った。本業である金利収入が低いという良くない側面もあるが、とりあえず企業業績は好調さを維持しているのには変わらない。
また昨日はポンドの下落も目立った。次期首相と目されているジョンソン氏が「合意なき離脱に備えて、議会の休会も」と発言したからだ。民主主義の国家で憲法停止や国会の閉鎖というのは致命的である。これがマーケットに不安を与えた。しばらくはBREXIT関連が材料にならなかっただけに、過敏に反応したとも言えよう。
ところでFEDの思惑とは別に、良い経済指標が続いている。オマケに株価も史上最高値の近くに張り付いている。昨日のパウエル議長のトークでは利下げを肯定するような内容だったが、後に見るべき指標は月末のGDP速報値くらいしかない。
この状況下で依然として利下げ期待が続いているのが不自然なのだが、やはりトランプ大統領の圧力には抗えなかったということになりかねない。市場はそちらのほうを不安視している。
今晩も住宅着工件数や企業決算など、マクロ・ミクロともに経済の良さを確認しにいく場となるだろう。利下げ期待に基づいた株高と債券高が続くのかどうか。そこが注目点である。
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