昨日は注目のFOMCであった、政策金利は25ベーシスポイントの利下げとなったので、これは予想通り。肝心の今後の姿勢については、パウエル議長はちょっと不明確な態度を示した。これは内部のメンバーの意見の擦り合わせが難しかったことを示唆するのだろう。いちばん市場が知りたいところの、次も利下げをするのかどうかだ。
それに対しては「大きな流れのなかでの調整」であるとし、「利下げ局面のスタートではない」と言いきった。こうでも言わないと、現行の株価水準との整合性がとれないからだろう。その一方で「利下げは一度きりではないかもしれない」と逃げも打っている。
要するに次の一手が読めない状況のままだったのだ。「データ次第」だというのは理解できるが、6月利下げをしないで7月利下げをしたのはデータ次第ではなかったから困惑の度合いを深める。
実際にこの1ヶ月で出てきた雇用、生産、消費、物価の多くの経済指標が、利上げを催促するものが多かったのだ。はっきりとトランプ大統領の機嫌次第だといってほしいところだが、アカデミックな彼らにとっては口が裂けても言えないところ。
そうした困惑をマーケットは素直に反映した。まずは25ベーシスしかやらなかったということで、失望売りが株価を襲った。そしてドルの短期金利も急上昇。債券相場も下がってしかるべきだったのが、株価の下げがあまりにも大きかったので、リスク回避と言うことで長期金利はむしろ低下した。
ドル相場は金利発表の時点で上昇した。ドル円は108円台の後半まで上がり、ユーロドルは1.10台に突入。そしてパウエル議長の会見が始まると、失望感は膨らんできた。過度な利下げ期待が吹き飛んだのだ。
しかしドル円などはそれを見込んでかなり上がってきていたので、実際に結果が出ても上昇幅は限定的なものとなった。それだけドルロングに構えていた人びとが多かったということでもあり、また利下げ中でのドルロングだから極力、はやく手放しで決着をつけたいところだ。私もドル円ロングで構えていたが、あんまり上がらないのを確認して、すぐにポジションはクローズした。
今日になってドル円は一段高した。109円台にしっかりと乗せてきたので、それで短期的なストップも誘発したようだ。しかし上サイドには売り場を模索している輸出などのオファーも並んでいるようで、目先は重い。
今晩はFOMCの後の消化具合を確かめにいく相場となろう。いろんな解釈があるが、これで利下げに打ち止め感が出るようならば、ドル相場は一段高してもおかしくはない。ドル金利が再び低下に向かう可能性が高いように見え、ドルがまた下がるのではないかと考えている。
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