金曜日は中国のGDPが発表され、プラス6.0%となって予想を下回った。米中の貿易戦争のさなかでもあるので、成長の度合いが下がっても仕方のないところだが、それでもまだ6%台を維持しているのである。
世界のどこよりも高度成長を続けていると言える水準である。プラス4.5%とかならば景気減速とかいって心配にもなるだろうが、現状では想定しているよりも減速しているとは言いがたい。
それで世界的にも株価は高値圏で張り付きのまま。他にもイランや北朝鮮の地政学的リスクやBREXITなどがどうなるのかの不透明感がたくさんある中で、まったく本格的なリスク回避をもたらさないでいる。ドル円は109円台攻めからは遠のいたが、1日を通じても値幅は30ポイントくらいで動意薄。
ポンドがまた騰勢を復活させて、ポンドドルは1.29台まで戻ってきた。これはFTがEUとの合意案を、イギリス議会で可決するだろうとの観測記事を出したからである。ポンド高に連れてユーロも対ドルで高い。
先週の木曜日にEUとイギリスがEU離脱案で合意できたが、それをイギリスが国内の議会で通過させることができるかどうかが焦点であった。19日の土曜日までに可決されなければ合意ができるまでEUに離脱延期を申し込まないといけない。これが法律で決められているので、市場としては一定の安心感はあった。
しかし国民投票の結果が出てから3年半。さらに延期申請をするとなると、いったい離脱する意思があるのかないのか、それすらも疑われてしまう状態となる。これまで市場があんまり激しくパニック的なリスク回避にならなかったのは、「どうせ口だけであって、将来にわたっても離脱はできないのだろう」と楽観視しているからだ。
そして週末の英議会では、EUとの合意案の採決は先送りされた。離脱のための修正案が可決されただけである。そして何もしないわけにも行かないので、ジョンソン首相は署名なしの離脱延期を申請したようだ。その一方で署名入りで「延期を望まない」という書簡も送っている。今週の英議会ではいっそうの混乱が予想される。
週明けのマーケットは大きな混乱は見られない。今週はBREXITの行方に加え、米企業決算が山場を迎える。また木曜日にはECBの金利会合があるし、ペンス副大統領の演説が予定されている。ペンス副大統領の演説は昨年の同じ時期に大きな影響を与えたことは記憶に新しい。トランプ政権が何を目指しているのかが端的に語られるからだ。
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