ウイルス感染の状況はまったく改善していないが、先週は慣れてきたものか、総じてリスクテークの流れが強まった。ドイツ株と米国株は連日の史上最高値の更新を繰り返し、リスク性に敏感なドル円やユーロ円も腰の強い展開が続いた。
先週の金曜日はドル円は109円台の後半でステイ。110円台に戻らないのだから重いとも言えるのだが、下がらないのだから堅調だとも言える。比較的に着実に下がっているのはユーロ円のほうだ。これはユーロドルの重さが原因だ。
今月になってユーロドルは1.0950を割り込んできてからというもの、相場の頭の重さが際立ってきている。これだけユーロが全面安をしてしまうのは、ユーロに関する政策期待が強まっているからだ。
これだけ人の移動が制限されて、物品の調達も困難をきたしているところなのだから、経済活動にとっては明らかにマイナスだ。中国のGDPを直撃するのは当然だが、中国経済におんぶに抱っこだった地域の経済の低迷は免れない。
明らかにリスクオフの材料であるはずなのだが、今年1年での金融緩和への期待が高まってきているのでリスク資産は値下がりしない形となっている。とくにドイツやアメリカでは金融政策に加えて、財政支出もあり得ると考えられているから、官製相場の動きが強まっていると言えるのである。
とくにドイツの財政への期待は強い。ユーロ圏の中にあってドイツだけが財政の出し渋りを続けてきたからだ。そしてそのドイツの国内経済の動向を表す経済指標も弱まってきている。発表された最新のドイツのGDPはマイナス成長でこそなかったものの、ゼロであった。そして景況感も悪化している。
ラガルド氏が新しいECB総裁になって、これから時間をかけて金融政策をレビューするといっているが、それには時間がかかる。しかし市場の動きはそれを先取りした動きなのだ。
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