先週のドル円はよく落ちた。マーケット全体が株価の暴落によるリスク回避に傾いているのだから仕方がない。111円台の後半から107円台のミドルまで、つまり今年のレンジの上から下までをやったことになる。
先週の金曜日も始まりは108円台の中盤だったが、これとても株価が戻らない以上はリスクオフの方向にポジションを張るのがよい。私も何度もドル円をショート攻めした。しかしあんまり長くは持っていられない。目先のトレンドが明確に下向きなので、トレンドに沿った方の動きには時間がかかるからである。
かける時間の割にはショートカバーが入ると速攻で相場が上がってしまう。これは相場が下攻めしているとの特徴でもあるので仕方がない。したがってスモールで余裕を持ったストップロスを設定するか、私のように小刻みで下げ分を取りにいくかの作戦をとることになる。
金曜日のニューヨーク時間ではWHOが危険度を引き上げたりしてリスク回避がいっそう進む局面もあったが、パウエル議長が緊急声明を出して追加利下げを確約したみたいな形になったおかけで、米国株は大底から急反発してきた。それにともなってドル円も108円ちょうど近くまで戻して週を終えている。
しかし米国株の戻し分ほどにはドル円があまり値を戻さなかったのは、そもそも利下げはドル売り要因でもあるからだ。ドル金利の低迷が続いている限りは、ドル円の戻しも限定的にならざるをえないということだ。
ドルの長期金利では10年ものの利回りで1.11%台まで低下する一方で、単金利のほうは年内3回分の利下げまでを織り込み始めた。パウエル議長が話すまで他のFRBメンバーらはみな一致して「現在の金融政策は適切」としていたスタンスがおかしい。それもあってパウエル議長の発言はマーケットにとっての大きなサプライズとなったのである。
週末に中国の景況が発表されて、景況感は35まで急落するなど、週明けのマーケットに与える影響が心配された。ドル円は早朝に106円台にまで突っ込んだようだが、東京オープン前に1円ほども値を戻してきて、事なきを得ている。
よく考えてみれば景況感がこんなもので済んで良かったというべきであろう。かえって46とか出た方が「ほんまかいな」ということになる。
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