昨日の海外市場では前日の過激なリスクテークに変わって、大きなリスク回避相場となった。ダウ平均は1000ドル以上も上げていたのに、次の日は1000ドル級の値下がりである。これでは現物株ベースでも、値動きの激しさは想像に難くない。カリフォルニア州がコロナ・ウイルスの感染に関して非常事態宣言を出したのが発端だ。
それに加えて米クルーズ船でもウイルス感染者が発生したという報告もあり、アメリカ政府のとる行動が注目されることとなった。またシアトルにあるアマゾンやフェイスブックの社屋でも感染者が発見され、従業員は出勤停止になるなど、余波は続いている。
世界的なリスクが意識される中で、金利も下げている。中でも注目を集めているのは米国債である。特に10年ものの利回りが1.0%を下回ってきてからは長短金利の逆転も意識され、それが景気後退の可能性と重なってFRBに次のアクションを催促する形となっている。
ドル金利の下落はドル保有の魅力を減退させるので、言うまでもなくドル売り要因だ。だから放っておいたら自然とドル相場は落ちてしまう。それが株高の才にはリスクオンの効果もありドル円などは下げ渋るが、昨日のように株が急落するとドル円は他のドル・ストレートに先駆けてドル安を演じてしまうことになる。
ドル円は早晩、105円台も割り込んでくるのだろう。しかし外部環境が変わらない以上はどこまで下がればもう結構などと枠をはめないようにしておかないといけない。
今晩はアメリカの雇用統計である。経済指標はそれほども重要視されない事態が継続しているが、今回の雇用の状況が悪かったら、それは3月FOMCでの追加利下げの背中を押すことになる。すでに市場のプライスには今月中にもういっぺん利下げが起こってもおかしくはない状況を織り込んでしまっているが、それを確認する上でも雇用データは要ウオッチである。
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