先週の金曜日の雇用統計は、結果がたいへん良いものだった。就業者数は27万人の増加となって、予想を大きく上回った。米国内の労働環境は良いことが示されたわけだが、これでは次の追加利下げをしにくくなったともいえるのである。昨年後半からの米中貿易戦争における予防的利下げの次を期待している筋からしてみれば、困ったことになる。
一方でマーケットのほうではさらなる大幅利下げを織り込みつつある。カリフォルニア州に加えてメリーランド州とワシントン州も非常事態を宣言するに至って、ドル金利は低下の度合いを深めだした。
10年ものの利回りはついに0.65%台まで低下し、現行のFEDレートと比べると完全に逆イールド状態となっている。あと100ベーシスの利下げをやって、やっとイールドカーブの形状の正常化が図られることになる。
欧州時間ではリスク回避の動きが強まり、ドル金利の低下とともにドル相場も全面安で推移した。ドル円も瞬間的に105円割れを喫したり、ユーロドルも1.13台まで乗せてもきた。
私もドルベアなのでドル円でショートにしたり、ユーロドルでロングにしたりしてプレイしたが、総じて持ち心地が良かったのはユーロドルのほうである。ドル円のほうはスピードも遅いし、またショートカバーもすぐに起こるからである。
ニューヨーク時間のランチタイム以降は、マーケットはやや落ち着きを取り戻してきた。クドローNEC委員長が航空関連などウイルス感染でダメージを受けた業種に救済プランを考えていると発言したからでもある。ドル円も安いながらも一打安は回避され、やや値を戻して週を終えている。週足で見ても、ドル円もユーロドルもドル安が進んだ週となった。
さて今週は重要な経済指標が少ない。その分だけコロナウイルスの感染状況や各国の対策がマーケットのリスク許容度を決定することが多くなる。そろそろウイルス感染の影響を込みにした経済見通しの発表も出てくるだろうから、そのような観測記事にも注意を払いたい。
そしてさっそく週明けのマーケットでは、ドル円は101円台まで差し込んでいる。米国株も大幅安で、米中貿易戦争が始まって以来の安値をうかがっている。
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