昨日はパターン通りに米国株が大きく下げる日であった。ウイルス感染者数の世界的な蔓延に加えて、要因はいろいろあった。まずはイタリア国債の下落が端緒になってきたこと。これだけリスク回避が進むと企業の違いによるクレジットリスクが顕著になってくると同時に、国ごとの信用リスクも問題になってくる。
とくにEU件では統一された金融政策を志向していて、なかなか地域ごとのきめ細かい事情に合わせていくのが困難になってきている。そもそも財政規律でEU側と対立しやすかったイタリアだが、そうしたリスクが表面化してきたのはイタリア国内のウイルス感染が原因であろう。
アメリカ国債ですら1%を下回ってきている長期金利だというのに、イタリア債は3%を越えてきたのだ。マーケットが不安にならないはずはない。言うまでもなく欧州株は大幅安し、グローベックスでの米国株も制限値幅いっぱいまで下げきった。
原油価格の下落圧力も、市場のリスク許容度を下げている。リーマンショックの直前までにつけた高値は147ドル台だったが、それ以降の最大の下げは2016年2月の26.20ドルであった。これはロシアの通貨危機のもので、今回の原油安にもロシアの姿勢が関連している点で共通しているとも言える。
昨日は朝からすでに原油スポットは30ドルの大台を割り込んできており、新安値は完全に視野に入っていた。そこで持ってきて下方向のブレーク。原油価格は20ドルの大台と割り込まなかったが、投げ売りのストップロスが大量に出て、大幅安を強いられた。
そしてアメリカの国内事情だが、自動車のビッグスリーが当面の間、工場の操業を休止するというのだ。これは生産を停止させるのだから、モロにGDP統計にマイナスで押し被さる。
こうした諸々の悪条件の中でマーケットは大きくリスクオフに傾くしかなかったのだが、その度合いと喫緊度が激しすぎて、ドル円は素直に下がっていかない。金相場や銀相場に見られるように、不安が解消するまではドルを手当しておきたいという方向で作用している。ドル円は容易に108円台に乗せてきたし、今日もアジア時間からドル円のドル買い圧力はたいへん強いものがある。
日本時間 15時30分
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)