昨日は期待された非常事態宣言が出されなかった。3大都市の首長も国家が宣言すべきだともいい、医学界や物流関連からも宣言を出してくれた方がやりやすいと言ってきている。首相権限で発令しても、あまり非難を浴びる環境ではなくなってきたということだ。
それでも新年度入りとともに史上事態宣言を出すのではという思惑の高まりを、政府のスポークスマンはデマだと完全否定した。それの手前、宣言を出したいとこを我慢したようにも見える。まさか官房長官が「今日はエイプリルフールだからウソもOK」などと言えるはずもなく、4月の初日は手を縛られている格好だ。
昨日の東京市場の現物株がクローズしてから、すぐに先物主導で日本株は大きく下げた。それが海外市場での基本的な流れを決定したようにも思える。米国株もグローベックスセッションでは上げていたのに、急速に上値を重くした。
ドル円も109円台まで値を戻すような勢いでショートカバーに見舞われていたのに、あっさりと107円台に沈んだ。ニューヨーク時間だけを切り取ると、完全に安値引けした形となっている。
さて東京都内の飲食業界は悲鳴をあげている。いうまでもなく都が発令した自粛要請によるものだ。しかしこれは天災のようなもので、一面、仕方のない部分もある。
行政は市民の安全を守らないと、その本来の使命を果たせないからだ。だから「夜の街にしばらくは出かけるな」と言われても、社会的には是認される。また当面の資金繰りのために税金から資金援助をしようというのも受け入れられやすい。
そして今日から新年度になって風景が変わったのは、東京都の室内禁煙条例に関してであろう。私は喫煙者ではないし、空気はきれいなほうが良いとは思うが、観察していると喫煙できるお店というのは意外とそれがウリになって混んでいたりした。しかし知り合いのお店でも喫煙場所を設備できる資金のメドが立たないために、人気があったのに閉めたところもある。
この時期に重なったのが、飲食店の悲惨さを増幅させているようにも見える。しかしコロナウイルスと違って、禁煙条例はあくまでも人為的なものだ。税金の支払いですら延期しようと画策されているこの時期に、敢行しなくてもよい問題のようにすら思える。
多くの飲食業が店じまいになっていくにしても、半分はきれいごとを重視した結果の人災だったということになるかもしれない。江戸時代、改革したはいいけど景気も落ち込んで「水清ければ魚棲まず」と歌われたことを思い出してしまった。ともかくも、とくにGDPの押し下げ効果が大きいので、いずれウイルス感染と同じくらいにマーケットのリスクオフに関連してくるものと思われる。
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