ドイツの裁判所でユーロの財政運営の方法が違憲状態にあるとの判断が下ってから、ユーロが安い。ユーロだけでなく欧州通貨が総じて安い。ユーロは財政統一をしていないまま、金融統合だけをしている。
だからどうしても歪みが生じてしまうのだ。金融政策は弱い国に基準を合わせないといけなくなるので、ここ数年で見られたようにドイツ国内の景気が良くても、一度もECBは利上げに転じることはできなかった。
それに加えての財政出動である。コロナウイルスは命に関わるため、誰も反対意見を声を大きくして出す向きはない。必要とされる資金を市中に出すため、さらに量的緩和を行うということにつながる。
ドイツの裁判所に指摘されるまでもなく、ギリシャ危機の以前からわかっていたことなのだが、改めて司法当局から言われるとマーケットは過剰に受け取ってしまうものである。
そういうわけで昨日のマーケットでもユーロ売りの圧力は高かった。ユーロドルが1.07台まで沈んだのは仕方のないことだが、これは見ようによってはフレッシュな安値というわけではない。
それよりもユーロ円が115円割れしてきたのは3年半ぶりである。ドル円は上に行きたそうにしているのに、ユーロ円の下げに引きつられて下がったように見える。
財政規律の問題はアメリカでも話題となった。来週の恒例の新発債の入札において、発行量が増大したのだ。とくに20年債も200億ドル分の追加がされたのが目立った。需給的な乱れもあって、米国債は下落。一時的に長期金利は上昇した。これもあってドルはドル円を除いて全面高の形にはなっている。
明日に雇用統計をひかえて、今晩は動きづらいだろう。そもそも雇用統計が出たからと言って、どう反応すべきなのかもわからない。極端に悪くても、それは周知のこととして一蹴されてしまう可能性が高いからだ。
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