昨日はパウエル議長のスピーチがあって、それが市場の警戒感を高めることとなった。株式相場や原油相場が年後半からの経済活動の復活を念頭に入れるかたちで値を戻してきたのに対し、長期的なリスクについて指摘したのだ。
マーケット全体がやや楽観論に傾いていたところだったから、ポジションの偏りも大きかったのだろう。米国株は前日に続いて大きな下落を余儀なくされた。欧州も米国もロックダウン解除に向けて動いているさなかだったので、その反動は大きくならざるをえない。
為替相場でもドル安が進んだ。ドル円は前日には107円台の後半まで上伸していたのに、再び106円台に逆戻り。ユーロもポンドも対ドルではドル安方向を強いられている。
ドル安が進んだ背景にはドル金利の動向も鍵になってくるのだろうが、パウエル議長はマイナス金利については目下のところ、議題に乗せるようなことは考えていないが、それでも追加の緩和策として除外はしないとした。これはマイナス金利に関して、一歩前進である。またトランプ大統領からの要求も強まってきているのも事実だ。
今晩は材料が少ない。失業保険もあるが、これも大きかろうが小さかろうがマーケットで反応するのは困難だ。それよりも値動きに注意したいものがある。それはユーロ円とポンドだ。ユーロ円は再び115円台まで沈んできた。
今年の安値は114円台の中盤だが、再びそこを視野に入れることになる。またポンドも下がってきて、1.21台まで落ちてきた。今晩は4月からBOEの新総裁となったベイリー氏のスピーチもあるので、あまり金融緩和の側面を強調しすぎると1.20台割れもありうるかもしれない。
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