11月8日(火)に実施された米大統領選挙。事前の世論調査などではクリントン氏の優勢が伝えられていたが、それを覆し、トランプ氏がサプライズ当選を果たし、なんと大統領の座を射止めてしまった。
事前予想はクリントン氏優勢の中、サプライズ当選を果たし、大統領の座を射止めたトランプ氏 (C)Scott Olson/Getty Images
■トランプ大統領誕生までを振り返ると…
簡単に今回の米大統領選挙を振り返っておくと、選挙戦は10月中旬まで圧倒的にクリントン氏が優勢だった。
はじめから、クリントン氏優勢と言われていた今回の米大統領選挙だったが、トランプ氏の女性蔑視発言が明るみになると、クリントン氏がさらに有利に選挙戦を展開していった。
3回に渡って開催されたテレビ討論会では、両候補がお互いを罵り合う姿に「史上最悪の中傷合戦」と揶揄されることもあったが、それでも総じてクリントン氏が優勢との見方が多かった。
【参考記事】
●お下劣トーク流出でトランプ陣営に悲壮感。クリントン勝利でもリスクオンとは限らない(10月10日、広瀬隆雄)
●トランプいわく、大統領選は「八百長」でクリントンは「いじわるオンナ」らしい!?(10月21日、広瀬隆雄)
ところが、そうした情勢に変化が見られたのが10月下旬。
クリントン氏の私用メール問題をFBIが再捜査すると発表したことがきっかけとなり、11月に入ってからいくつかのメディアが報じた世論調査で、トランプ氏がクリントン氏を猛追。支持率拮抗、もしくは逆転したと報じられるなど、一転して情勢は混沌としたものに…。
【参考記事】
●メール問題再発で混沌の米大統領選挙! ヒラリー側近の美人スタッフがどう関係?
投票日目前の11月6日(日)にFBIが、「クリントン氏の私用メール問題は犯罪に当たらない」との当初の判断を維持することを発表したものの、クリントン氏が被ったダメージはかなり甚大だったようだ。
事前予想では優勢だったクリントン氏だったが、メール問題で被ったダメージは甚大だったようだ (C)Win McNamee/Getty Images
■トランプ氏がスイングステート勝利で足場を固める
そうした中で迎えた、11月8日(火)の米大統領選挙当日。投開票が進む中、注目は民主党と共和党の支持者が拮抗する、「スイングステート」と呼ばれる州をどちらが勝利するかだった。
【参考記事】
●ソニーFHDの尾河眞樹さんに聞く(1) 米大統領選挙、トランプ大逆転の可能性は?
結果、トランプ氏がオハイオやフロリダ、さらにノースカロライナなどのスイングステートで勝利し、確実に足場を固めていった。
【参考記事】
●激戦州のオハイオなどでトランプ氏勝利! ドル/円は101円台、日経平均は900円超安
この中でもオハイオ州は、過去50年間でこの州を落として大統領になった候補者がいないことでも有名だ。そこで、トランプ氏が勝ったのだ。
そうした中、NYタイムズがトランプ氏の当選確率を95%と報じるなど、一気にトランプ氏当選の機運が高まる情勢となり、最後はウィスコンシン州でトランプ氏が勝つと、トランプ氏の選挙人獲得数は過半数の270以上となって、ついに当選を決めたというわけだった。
■米ドル/円は急落も、101円台では踏みとどまる
米大統領選挙の投開票が進む中、両候補が各州で勝利したと報じるニュースが流れるたびに、為替相場をはじめ金融市場は乱高下。
そのうち、トランプ氏優勢ムードが高まると、米ドル/円は105円台半ばから101円台半ばまで大きく下落。
しかし、トランプ氏の当選が確実になるにつれて、意外にもリスクオフの流れは弱まり、米ドル/円は101円台で踏みとどまると、102円台後半まで買い戻される場面も見られている。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
日経平均は前日比1000円超のマイナスとなるなど、一気にリスクオフが進む展開となると、結局、前日比919円マイナスの1万6251円で取引を終えた。ただ、16時30分から取引が再開された日経平均先物は500円近い大幅上昇を見せており、リスクオフがどんどん進む状況とはなっていない。
(出所:株マップ.com)
まさかのトランプ大統領誕生となったわけだが、トランプ大統領の言動などを慎重に見極めながら、今後の金融市場がどう動くか、様子を見る必要がありそうだ。
(ザイFX!編集部・庄司正高)
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