昨日は週前半の相場展開とは反対向きのことが起こった。といっても株価におけることである。ワクチン開発の成功の話しによって景気回復が見込まれる一方で、これまでの巣ごもり需要によって支えられていたセクターに割高感が出てきたことだ。それによってダウ平均は上昇し、ハイテク株の多いナスダック指数は大きく下がった。
前者をバリュー株、後者をグロース株などとも言ったりする。昨日は米国内での感染者数が13万人を越えてきたこともあって、不安が再燃。バリュー株は売り込まれ、グロース株が買われたのである。
そうした動きは株価全体としてはネットでゼロである。だから為替相場にはあんまり大きな影響を与えるものではなかった。もちろんアメリカがベテランズデーであり、市場参加者が少なかったことも小動きの一因である。
ラガルド総裁がスピーチの中で追加の金融緩和の必要性を強調した。それがユーロの頭を押さえた格好となった。ECBとしてマイナス金利の深掘りには後ろ向きなので、やるとしたら資産買い入れの増額などの量的緩和である。またECBの職権からはそれるが、各国に追加の財政出動を要請することもあるのかもしれない。
今晩は失業保険とCPIのデータが出る。雇用関連にはマーケットはあまり反応しなくなってきているので、その重要度は低下してきている。注目点はやはり株価だろう。とくに追加の金融緩和を強調しているユーロ圏での株価の一段高があるかどうか。また緩和によるユーロ安はどこまで進展するか、である。
ユーロ円はこのところ120円から126円の間でおさまっているので、今が124円台であるからちょっと売ってみたい感じがする。金融緩和の受け取り方が本物ならば、容易に121円台くらいまで下がりそうなものである。それに加えて株価下落などのリスク低下要因も混じると、スピード感も出てくるだろう。
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