先週の後半は市場の関心は米長期金利の動向であった。米国債の相場が下がればリスク資産の値段も下がるというもの。いわゆる金融相場の展開となってきている。これは金融当局の姿勢を試されている場面でよく起こる現象だ。つまり市場の催促によって財政と金融のあり方が変わるのかということだ。
財政の面では、米議会はこれから1.9兆ドルのコロナ予算を通過させようとしている。年間の予算規模に匹敵する額だ。これまで長期債市場が安定していたので、あまり財政規律は問題にならなかったのが事態を悪くしている。通常ならば長期金利が上昇して金利負担の増大することが最後の歯止めとなるところなのに、長期金利が低水準のままで続いたため、財政支出をしないことが悪いことのように考えられるようになった。
財政に厳しいドイツですらも大規模な支出をしていることで、他の国も安心して支出を増やしている。欧州は過去の経緯からインフレには敏感とされている。それが慣れてしまって、インフレを気にしなくなってきた。多少のインフレの芽が見えだしたにしても、それを見ないようにしているようでもある。それがあって長期金利の上昇が現実に起こると、必要以上に恐怖に陥ってしまうようだ。
先週の金曜日もアジア時間ではドルの長期金利の上昇が強まった。日本株も大きく下落し、日経平均株価は前日比で1000円以上も下がった。そして本来ならば安全志向で買われないといけない円債も大きく売られ、5年ぶりの高い金利水準となった。
欧州時間からは為替相場でドル買いの流れが強まった。それは長期金利の上昇につられる形でドルの短期金利も上昇を始めたからだ。ドル円もユーロドルもニューヨーク時間ではドルの一段高をし、そのまま週のドル高水準で終わっている。
さて今週はアメリカの雇用統計が控えているが、それまでは長期金利をにらんでの相場展開となるのが予想される。
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