(「ドルはどこまで下がるのか? (14)」からつづく)
では、ドル/円について、野村さんの具体的なレートの見通しを聞いてみよう。
「当面は100~120円ぐらいで行ったり来たりするんじゃないでしょうか。これからはどちらかというと、120円の方向へ動いていくと思います。現在、外貨投資は日本の個人金融資産の3%ぐらい。これが10%ぐらいになるまで、増えていくと思いますからね。
そうしていくうちに日本の貿易黒字はどんどん減っていくと思うんです。中国の力が強くなってきているわけですし、日本はあんな政府じゃダメでしょう。10~20年ぐらいの長期ではドル/円が150円になり、さらに200円になると思っています。日本の国力が衰えていき、その分、円という通貨が弱くなっていくわけです」
先に述べたように、野村さんは長期的に見て、ドルが安くなり続ける傾向は今後も変わらないと考えている(「ドルはどこまで下がるのか? (12)」)。それでも、ドル/円で円安ドル高を長期的に予想しているわけだから、日本という国を相当悲観的に見ているということだ。
■ユーロ/円でもまだ円安は進む
では、ユーロ/円はどうだろう?
「今、160円ぐらいですが、これは180円ぐらいまで行くんじゃないですか」
円安ユーロ高ということは、低金利の円を売って、相対的に高金利のユーロを買う、いわゆる「円キャリートレード」の復活ということなのだろうか?
「いや、そんなことより、国力の差でしょう。まあ、ユーロは国ではなく、地域ですが…。日本は中国にとって代わられるだけですから」
やはり、ここでも日本悲観論なのである。
では、ユーロ/ドルはどうだろう?
「アメリカのサブプライム問題によってドル安が進んだ分は、いったんはげ落ちると思います。ですので、しばらくはドル高方向へ動いて、1.5割れぐらいまで行くと見ています。そこからは再度ユーロ高ですね。
結局、アメリカは貿易赤字を垂れ流し続けているわけで、ドル安の根本的な問題は変わらないわけですから。ユーロ高の方向に戻って、来年には1.6~1.7ぐらいになると考えています」
(「ドルはどこまで下がるのか? (16)」へつづく)
(ザイFX!編集部・井口稔)
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