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田向宏行
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ドル・円・ユーロの明日はどっちだ!?


ドルはどこまで下がるのか? (2)

2008年04月04日(金)16:31公開 (2008年04月04日(金)16:31更新)
ザイFX!編集部

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(前回「ドルはどこまで下がるのか? (1)」からのつづき)

 今井雅人さんが言う「ドル/円の95~100円に埋まっていた地雷」とは、「損切り目的の大量の円の買い戻し注文」のことだった。

 その地雷には「FXで含み損が膨らんで強制ロスカットになっちまった!」といったものももちろん含まれるのだが、今井さんによると、「デリバティブを使った為替の仕組み商品」こそ、地雷のイメージにピッタリ合うもののようだ。

 「たとえば、一定の期間が経ったあとにドル/円を110円で売る権利があるんだけれど、『その前に100円を一度でも切ったら、自動的にその時点で売らなくてはいけない』という条件がついているものがあります。この『一度でも切ったら』という価格のことを『トリガーポイント』というんですが、それがドル/円の95~100円には集中していたと思われるんです。そして、売りが売りを呼ぶ展開となり、下げがきつくなったと考えられます」

 「デリバティブを使った為替の仕組み商品」は今井さんが例として挙げたもの以外にもさまざまなパターンがあり、しばしば私募形式で限られた投資家だけに売られていたりするので、「それがどこにどれぐらいあるかわからない」のだという。

 そして、「おそらく、その規模がかなり大きいものだったのだろう」ということが今回の急激な下げで判明したということなのだ。

■ドル/円は90円ぐらいまで下がるか100円を挟んだもみあい

 では、今井さんはこれからのドル/円相場がどうなると予想しているのか?

 「(1)ゆっくりと90~92円ぐらいまで落ちていくパターン、(2)しばらく100円を挟んだ97円~103円ぐらいでもみあうパターン、この2つの可能性があると思います」

 今井さんが下げても90円ぐらいまでと考える理由は先ほど述べた「トリガーポイント」にある。

 「『トリガーポイント』はその価格になりそうもないけれど、あまり離れすぎたところには置かないものなんです。だから、『どうせ介入があるから100円は切らないだろう』という発想で、100円を切った直後の95~100円にたくさん『トリガーポイント』が置かれていたと考えられます」

 では、95円以下ではどうなるのだろう?

 「90円ぐらいまでは数はかなり減ってきます。ですから、今の段階でまた急激に下げることはあまり考えられません。ただ、いろいろ聞いてみると、90円台を切って80円台には別のタイプの損切りの売り注文が大量にあるようなので、相場が大きく動く可能性は残っています。けれど、大きな銀行が潰れるなどのショックがないとなかなかそこまではいかないと思うので、その可能性は低いのではないかなとボクは考えているんです」

 では、今井さんが「97円~102円ぐらいでもみあうパターン」を考えているのはどうしてか?

 「このままもみあいになるというのは、アメリカ経済が悪いということはもうかなり相場に織り込まれているので、さらに下がるかなと自分の中でも疑問に思うのが一つ。その一方、アメリカ経済に本格的に明るい兆しが見えないとドルもV字回復はしないだろうというのがもう一つ。それらを合わせた結果がもみあいになるだろうということです」

 (「ドルはどこまで下がるのか? (3)」へつづく)

(ザイFX!編集部・井口稔)
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