先週(11月9日~)も米ドル安が進んでいたが、市場関係者の多くが期待しているほどの勢いではなかった。
ドルインデックスは、10月安値の74.94をわずかに下回ったが、急落せず、安値圏での変動にとどまっている。
■マーケットは米ドル安を期待しているようだが…
市場関係者の大半は、依然として、米ドル安の進行を期待しているようだ。そのためか、先週は、英ポンドの波乱によって、米ドルの底割れが回避されたと主張する専門家が多かった。
確かに、格付け会社の警告とキング英国中央銀行(BOE)総裁の発言で、英ポンドが急落した場面もあったが、週後半は持ち直している。
米ドル安が本格的に進むのであれば、相変わらずマイナス材料に事欠かない英ポンドの対米ドルでの高値更新が、何よりもの証明となるだろう。
一方、このような展望に、一点の曇りもないというわけではない。
英ポンドに比べ、来年の再利上げが必至とされる豪ドルでさえ、テクニカル面で見れば、警戒すべきシグナルが点灯している。
(出所:米国FXCM)
図のように、豪ドル/米ドルの高値更新とは対照的に、RSIは弱気ダイバージェンス(逆行現象)の兆しを見せている。ここまで、一方的な豪ドル買いが続いてきたが、力つきてきたような印象もある。
■下落基調のドルインデックスに変化が現れた!
同じように、ドルインデックスの日足を見ると、安値を更新しているにも関らず、RSIが強気ダイバージェンスの様相を呈しており、ダブルボトムの可能性を示唆しているのだ。
図のように、豪ドル/米ドルの高値更新とは対照的に、RSIは弱気ダイバージェンス(逆行現象)の兆しを見せている。ここまで、一方的な豪ドル買いが続いてきたが、力つきてきたような印象もある。
■下落基調のドルインデックスに変化が現れた!
同じように、ドルインデックスの日足を見ると、安値を更新しているにも関らず、RSIが強気ダイバージェンスの様相を呈しており、ダブルボトムの可能性を示唆しているのだ。
もちろん、この程度のシグナルは完全なものではなく、米ドル安トレンドのモメンタムが減速することだけを意味することも多い。
これだけで、米ドルの切り返しを判断するのは早計だ。米ドルの安値をさらに追うとしても、ドルインデックスの安値再更新を待ってから行動したほうが無難というメッセージとして受け止めるべきだろう。
■今は米ドル/円とドルインデックスの値動きがソックリ
ところで、最近の米ドル/円は、ドルインデックスの値動きとの相関性を、さらに増しているように見える。下の比較図を見れば、一目瞭然だ。
このような相関が続くならば、米ドル全体が底割れするかどうかは、そのまま米ドル/円の底割れの有無に影響してくる。従って、米ドル/円の置かれた現在の状況は、ドルインデックスとあまり変わらないかもしれない。
これだけで、米ドルの切り返しを判断するのは早計だ。米ドルの安値をさらに追うとしても、ドルインデックスの安値再更新を待ってから行動したほうが無難というメッセージとして受け止めるべきだろう。
■今は米ドル/円とドルインデックスの値動きがソックリ
ところで、最近の米ドル/円は、ドルインデックスの値動きとの相関性を、さらに増しているように見える。下の比較図を見れば、一目瞭然だ。
このような相関が続くならば、米ドル全体が底割れするかどうかは、そのまま米ドル/円の底割れの有無に影響してくる。従って、米ドル/円の置かれた現在の状況は、ドルインデックスとあまり変わらないかもしれない。
(出所:米国FXCM)
そうなると、今週のストラテジーをシンプルにまとめれば、以下のようになる。
1.ユーロ/米ドル、豪ドル/米ドルの高値更新があれば、上値追いの短期勝負に徹する。そうでなければ、明確なサインが出るまで、性急な行動は避ける。
2.ドルインデックスの底割れがあれば、米ドル/円も下値トライの可能性が高く、10月安値の更新も視野に入る。そうでなければ、性急な下値追いは避ける。
3.どちらに転んでも、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)相場は、狭いレンジ内にとどまりそうだ。米ドル全体の急騰があった場合のみ、クロス円相場にレンジ下放れの余地が出てくる。
実際、海外のトレーダーと情報交換をすると、その多くはすでに、米ドルのショートポジションを縮小しているようだ。
ただ、彼らは、確信を持って米ドルの安値を追っているのではなく、リスク回避のために、クロスペアにポジションを傾けるようになったらしい。
■目先は、米ドルの絡まない通貨ペアがおススメ!?
もちろん、海外のトレーダーは、日本人のように、クロス円相場に手を出す人はめったにいない。海外のトレーダーの常識では、クロス相場と言えば、ユーロと絡む通貨ペアだ。
もっとも代表的なのはユーロ/英ポンドだ。ポジショントークかもしれないが、ユーロ買い/英ポンド売りのポジションに意欲を示すトレーダーが多かった。
その理屈は簡単。
米ドル全体のトレンドと関係なく、量的緩和策が続き英ポンド安を歓迎する英国政府と、出口戦略を探り始めたEUとは格差があるのだから、ユーロ買い/英ポンド売りの戦略がうなずけるからだ。
そうなると、今週のストラテジーをシンプルにまとめれば、以下のようになる。
1.ユーロ/米ドル、豪ドル/米ドルの高値更新があれば、上値追いの短期勝負に徹する。そうでなければ、明確なサインが出るまで、性急な行動は避ける。
2.ドルインデックスの底割れがあれば、米ドル/円も下値トライの可能性が高く、10月安値の更新も視野に入る。そうでなければ、性急な下値追いは避ける。
3.どちらに転んでも、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)相場は、狭いレンジ内にとどまりそうだ。米ドル全体の急騰があった場合のみ、クロス円相場にレンジ下放れの余地が出てくる。
実際、海外のトレーダーと情報交換をすると、その多くはすでに、米ドルのショートポジションを縮小しているようだ。
ただ、彼らは、確信を持って米ドルの安値を追っているのではなく、リスク回避のために、クロスペアにポジションを傾けるようになったらしい。
■目先は、米ドルの絡まない通貨ペアがおススメ!?
もちろん、海外のトレーダーは、日本人のように、クロス円相場に手を出す人はめったにいない。海外のトレーダーの常識では、クロス相場と言えば、ユーロと絡む通貨ペアだ。
もっとも代表的なのはユーロ/英ポンドだ。ポジショントークかもしれないが、ユーロ買い/英ポンド売りのポジションに意欲を示すトレーダーが多かった。
その理屈は簡単。
米ドル全体のトレンドと関係なく、量的緩和策が続き英ポンド安を歓迎する英国政府と、出口戦略を探り始めたEUとは格差があるのだから、ユーロ買い/英ポンド売りの戦略がうなずけるからだ。
ユーロ/英ポンド 日足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/英ポンド 日足)
また、合成ポジションとして、豪ドル/米ドルの買いと併せて、英ポンド/米ドルの売りポジションを建てるトレーダーもいる。
このストラテジーの本質は、やはり、米ドル全体のトレンドとかけ離れたところで、より確実性を求めているということだろう。
■不確実性に満ちた相場に向き合うために重要なのは?
以上のように、目先では、米ドル安が一段と進行しているように見えるのだが、さらなる米ドル安に賭けるといったトレーダーは、意外にも、想定されているほど多くなかった。
見通しや結果はともかく、彼らのバランス感覚に学ぶことは多いような気がする。
つまり、不確実性に満ちている相場と付き合っている以上、リスク回避が何よりも再優先されるべき事項であり、市場のコンセンサスの形成とトレンドの進行が一方向に偏るにつれ、ポジションを持つならば、より用心深くすべきだ。
このような心構えが重要であることを、近く、相場が教えてくれると信じている。
また、合成ポジションとして、豪ドル/米ドルの買いと併せて、英ポンド/米ドルの売りポジションを建てるトレーダーもいる。
このストラテジーの本質は、やはり、米ドル全体のトレンドとかけ離れたところで、より確実性を求めているということだろう。
■不確実性に満ちた相場に向き合うために重要なのは?
以上のように、目先では、米ドル安が一段と進行しているように見えるのだが、さらなる米ドル安に賭けるといったトレーダーは、意外にも、想定されているほど多くなかった。
見通しや結果はともかく、彼らのバランス感覚に学ぶことは多いような気がする。
つまり、不確実性に満ちている相場と付き合っている以上、リスク回避が何よりも再優先されるべき事項であり、市場のコンセンサスの形成とトレンドの進行が一方向に偏るにつれ、ポジションを持つならば、より用心深くすべきだ。
このような心構えが重要であることを、近く、相場が教えてくれると信じている。
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