(「“FX会社出禁”トレーダーを捕獲!(1) 『1週間で2億円』の手法が狙うものは?」からつづく)
■2社のレートに差があるときに儲けるマジックって?
相対取引であるFXでは、各社の為替レートが同じとは限らない。まれに1社だけが乖離したレートを提示することもある。そうしたレート差を利用して、1週間で億単位の荒稼ぎをしたというミスターブレインさんだが、いよいよ話は本題へ。気になる、そのやり方は?
「基本は両建てです。2社のレート差が開いたときに『A社で売り、B社で買い』と同時に取引して、同時に決済するんです」
ややこしいので図を使って説明しよう。もしも、A社とB社のレートがまったく同じならば、同時に両建て、同時に決済しても、何の意味もない。スプレッド分がマイナスになるだけだ(図1)。

「でも、2社のレートに開きがあった場合は話が違います。A社だけ一瞬レートがおかしくなって、でもすぐにB社と同じレートに戻るとわかっていれば、両建てで確実に収益を得られるんです」
一瞬だけレートがおかしくなって、またすぐに戻る、この動きはストップ狩り(※)そのもの。本来はトレーダーを苦しめるストップ狩りを逆用したのが、ミスターブレインさんたちのやり方なのだ。
ストップ狩りを疑わせる動きがあったときの両建てを示したのが図2。図1と同じ値動きを示しているように見えるが、A社のレートが一瞬、不自然に上へ跳ね上がっている。
「こうした動きを発見したら、両建てするんです。不自然に上に上がっている方で売り、実勢レートのとおりに動いているB社では買いです」
(※編集部注:「ストップ狩り」については前回の記事および「一部のネット界隈で囁かれている『ストップ狩り』とはどういうことか?」を参照)

不自然なレートを提示するA社が、実勢レートに戻ったら2社ともに同時に決済する。そうすると、スプレッドを考慮したとしても2社合計の損益はプラスになるのだ。この間、数秒からせいぜい数分程度。
「実際には同時に注文しようと思ってもタイミングがずれたり、注文がスベったりすることもありますが、勝率は10割に近い」
■2億円も稼いだ“業者間アービトラージ”
これがミスターブレインさんのやっている“業者間アービトラージ”。アービトラージとは、同じような2つの商品の間での価格差を利用して利ザヤを稼ぐやり方だ。
たとえば日経平均連動型ETFと日経225先物は同じ株価指数におおよそ連動する商品だが、値動きは微妙に異なる。そこを突いたアービトラージは、ヘッジファンドなどもよく狙っている。
「買いの注文が大きくふくらんでいるとき、一部の業者はレートを低めに誘導しがちですし、大量の売り注文が並んでいれば、それを狩ろうとする。ですから、特定の業者に注目していると、アービトラージのチャンスは意外に多いんです。多いときは1日に500回くらいの取引をしましたから」
ただ、このやり方って何も両建てする必要はないのでは? だって、一瞬だけ不自然に動いて、すぐに実勢レートに戻るのであれば、その“戻り”だけを狙ってもいいはず。
「もしも不自然に思えるレートが実勢レートだったときのための、リスクヘッジとして両建てをしています。ですから、その業者の傾向がわかってくれば、両建てはせずに不自然なレートの方だけ取引する“片バリ”をすることもありますね」
最初に教えてくれた「身内を含め1週間で100万円が2億円」になったときに狙った業者でも、“片バリ”の場合が多かったとか(「“FX会社出禁”トレーダーを捕獲!(1) 「1週間で2億円」の手法が狙うものは?」参照)。
しかし、こうした不自然なレートを提示する会社って、そんなにあるのだろうか?
■FX会社4社から“出入り禁止”を食らう!
「最近はストップ狩りが話題になってきたこともあって減ってはきましたが、まだありますね。ただし、業者間アービトラージは長く使えるやり方ではありません。FX会社から取引できなくされてしまうからです。僕らももう4社から“出禁”ですから(笑)」
そう、業者間アービトラージはFX会社から嫌われるやり方。そもそも、数秒から数十秒程度で決済してしまうスキャルピング自体を禁止事項に盛り込んでいるFX会社もある。投資家にスキャルをされると、FX会社がカバー取引を行いにくいため、「投資家の利益はFX会社の損」と利益相反の関係になってしまうためだ。
「スキャル禁止」の会社でスキャルすると、どうなるか。多くの場合は口座が一方的に停止される。さらには、スキャル禁止と明確にうたっていなくても、スキャルをやったせいで口座停止になることもある。
「僕らの場合、早いと2日くらいで口座を止められました。理由を聞いても不明朗な答えしか返ってこない。僕らのようなやり方をされると、ストップ狩りで儲けられないばかりか、逆に大損となるからでしょうね」
実はこのミスターブレインさん、鳴り物入りで登場した新しいFX会社が、数ヵ月で営業を停止してしまった一因だったのでは…との声も。
「C社ですよね。あの会社は不自然な値動きが多かったので、業者間アービトラージで荒稼ぎできました。ストップ狩りをプログラムに組み込んでいるFX会社もあると言われているんですが、末期のほうではプログラムが誤作動を起こしたのか、30分くらい、他社と10銭以上レートが乖離したままだったこともありました」
「最近はストップ狩りが話題になってきたこともあって減ってはきましたが、まだありますね。ただし、業者間アービトラージは長く使えるやり方ではありません。FX会社から取引できなくされてしまうからです。僕らももう4社から“出禁”ですから(笑)」
そう、業者間アービトラージはFX会社から嫌われるやり方。そもそも、数秒から数十秒程度で決済してしまうスキャルピング自体を禁止事項に盛り込んでいるFX会社もある。投資家にスキャルをされると、FX会社がカバー取引を行いにくいため、「投資家の利益はFX会社の損」と利益相反の関係になってしまうためだ。
「スキャル禁止」の会社でスキャルすると、どうなるか。多くの場合は口座が一方的に停止される。さらには、スキャル禁止と明確にうたっていなくても、スキャルをやったせいで口座停止になることもある。
「僕らの場合、早いと2日くらいで口座を止められました。理由を聞いても不明朗な答えしか返ってこない。僕らのようなやり方をされると、ストップ狩りで儲けられないばかりか、逆に大損となるからでしょうね」
実はこのミスターブレインさん、鳴り物入りで登場した新しいFX会社が、数ヵ月で営業を停止してしまった一因だったのでは…との声も。
「C社ですよね。あの会社は不自然な値動きが多かったので、業者間アービトラージで荒稼ぎできました。ストップ狩りをプログラムに組み込んでいるFX会社もあると言われているんですが、末期のほうではプログラムが誤作動を起こしたのか、30分くらい、他社と10銭以上レートが乖離したままだったこともありました」

たいていは不自然なレートが発生しても数秒で、もとの水準に戻る。30分もレートがおかしくなっていたら、気がつく人も多いはず。
「だから、C社を使って業者間アービトラージをやっていた人は僕ら以外にもたくさんいたはずですよ」
■“業者間アービトラージ”でまだ荒稼ぎできるのか?
でも、業者間アービトラージって僕らにもマネできるものなのだろうか?
「このやり方がだいぶ知られてきたので、使える業者を探すのは大変かもしれません。ただ、海外にもFX会社はたくさんありますしね。とはいえ、常にモニターにへばりついてレートを監視しないといけないので、大変ではあります(笑)」
ミスターブレインさんのように、業者間アービトラージを自動売買のプログラムにするのは、相当なスキルが必要。素人は目で見て監視するしかないが、それが結構大変なのは確かだ。
そんなミスターブレインさんが現在、主力としているのは業者間アービトラージではなく、過去のデータから利益が出やすい自動売買プログラムを組み立て、さらに複数の自動売買プログラムでポートフォリオを作って運用すること。
「自動売買を単体で使う人がいますが、それよりも複数の自動売買プログラムを組み合わせてポートフォリオを組んだほうが、安定して勝ち組にまわれます。
ごくシンプルに説明すると、たとえば、取引する通貨ペアの異なる自動売買プログラムを組み合わせたり、レンジ相場に強い自動売買とトレンドの出ているときに強い自動売買を組み合わせたり、ですね。実際にはもっと複雑にいろいろ考慮しますが…」

柔軟な発想でFXトレードに励むミスターブレインさん。このチームから学ぶことは多そうだ。
(取材・文/高城泰(ミドルマン) 撮影/堀内慎祐)
ミスターブレインさんについては『ダイヤモンドZAi』7月の特別付録「FX!個人投資家図鑑」にも記事を掲載しています。ぜひご覧ください!
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※2022年12月1日(木)7時00分~2022年12月31日(土)6時30分における、スプレッド提示率がもっとも高かった水準 | ||||
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※ユーロ/円は、2023年2月28日までのキャンペーンスプレッド | ||||
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米ドル/円 | ユーロ/円 | ユーロ/米ドル | ||
0.2~2.0銭 | 0.4~3.2銭 | 0.3~1.5pips | 51ペア | 1000通貨 |
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0.2~2.0銭 | 0.4~3.2銭 | 0.3~1.5pips | 38ペア | 1000通貨 |
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スプレッド(取引コスト) | 通貨ペア数 | 最低取引単位 | ||
米ドル/円 | ユーロ/円 | ユーロ/米ドル | ||
0.2銭原則固定 | 0.4銭原則固定 | 0.3pips原則固定 | 30ペア | 1000通貨 |
※日本時間9時~翌27時までの時間帯に適用されるスプレッド。スプレッドはすべて例外あり。ユーロ/円・ユーロ/米ドルは、2023年2月4日までのキャンペーンスプレッド | ||||
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