一流の投資銀行に勤め、お金には不自由しておらず、ファッション・センスも抜群で、普段から着るもの、持ち歩くものにこだわるタイプの彼女が『ユーロ高でパリの物価の高さを痛感したわ』と、一切の高額商品のショッピングをボイコットした事実に私は思わず唸ってしまったのです。
もし、パリのブティックですら最上の見込み客であるYさんのような旅行者から完全に袖にされているのなら、欧州の輸出企業は最近のユーロ高で当然、相当苦しんでいるに違いありません。
事実、このところ発表されている欧州企業の決算はユーロ高でボロボロです。アル・カテル・ルーセント、サノフィ・アヴェンティス、SAP、ノキアなど、悪い決算を出した企業は枚挙にいとまがありません。
欧州では消費者のマインドはそれほど悪化していませんが、欧州企業の景況感は非常に悪化しているのです。
これはインフレ・プレッシャーがやわらぎ次第、ECB(欧州中央銀行)は利下げに入っていかなければいけない状況にあることを物語っています」
(「ドルはどこまで下がるのか? (11)」へつづく)
(ザイFX!編集部・井口稔)
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