■本来、米ドルの反発を加速させるはずだった2つの事件
以下のドルインデックスの日足を観察すれば、ちょうど50日移動平均線に頭を押さえられていることがわかる。下のチャートでは、50日、100日、200日の移動平均線を表示させており、大まかな相場感をつかむことが可能であろう。
上のチャートからわかることは、米ドル全体は決して強くないということだ。
今週は2つの事件が起こり、これは本来、米ドルの反発を加速させるはずだった。しかし、ドルインデックスは50日移動平均線を上回れず、米ドルの弱さを露呈する形となった。
まず、1つめの事件は上海株の暴落。上海株は先週の急落に続き、8月19日(水)に再び暴落し(4.3%安)、このところの安値をつけた。そして、これに呼応して、欧米の株式は軒並み反落した。
この上海株の暴落に対して、為替では米ドルの反応は限定的。それに比べて、円のパフォーマンスは目立っている。
下の日足チャートが示すように、7月上旬以降、ユーロ/米ドルは何度も50日線にサポートされ、同線は依然上昇傾向を保っており、米ドルの弱さを示している。
■寝耳に水のショックでも英ポンドの下落は限定的だった
もう1つの事件は、8月19日に公表された、8月6日の英金融政策委員会(MPC)議事録の内容。そこでは英国中央銀行総裁を含み、3名の理事が500億ポンドに留まらず、750億ポンドまで資産購入額を拡大することを主張していたことがわかったのだ。
英国では量的緩和策が延長されるだけでなく、これからさらに拡大されていく可能性が大きいことがわかったため、市場にとってはまさに寝耳に水ほどのショックであったにもかかわらず、英ポンドの下落は限定的だった。
下のチャートは先に挙げたものと同じく50日、100日、200日移動平均線を表示した英ポンド/米ドルの日足だが、依然として50日移動平均線前後を保っていることがわかる。
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