市況は再び斑模様になっている。現時点では、今週の週初以来(8月17日~)、米ドルの総合力を示すドルインデックスは79.30~78.35といった狭いレンジ内を変動するに留まり、大した方向感を示さずにいる。
■本来、米ドルの反発を加速させるはずだった2つの事件
以下のドルインデックスの日足を観察すれば、ちょうど50日移動平均線に頭を押さえられていることがわかる。下のチャートでは、50日、100日、200日の移動平均線を表示させており、大まかな相場感をつかむことが可能であろう。
(出所:米国FXCM)
上のチャートからわかることは、米ドル全体は決して強くないということだ。
今週は2つの事件が起こり、これは本来、米ドルの反発を加速させるはずだった。しかし、ドルインデックスは50日移動平均線を上回れず、米ドルの弱さを露呈する形となった。
まず、1つめの事件は上海株の暴落。上海株は先週の急落に続き、8月19日(水)に再び暴落し(4.3%安)、このところの安値をつけた。そして、これに呼応して、欧米の株式は軒並み反落した。
この上海株の暴落に対して、為替では米ドルの反応は限定的。それに比べて、円のパフォーマンスは目立っている。
下の日足チャートが示すように、7月上旬以降、ユーロ/米ドルは何度も50日線にサポートされ、同線は依然上昇傾向を保っており、米ドルの弱さを示している。
上のチャートからわかることは、米ドル全体は決して強くないということだ。
今週は2つの事件が起こり、これは本来、米ドルの反発を加速させるはずだった。しかし、ドルインデックスは50日移動平均線を上回れず、米ドルの弱さを露呈する形となった。
まず、1つめの事件は上海株の暴落。上海株は先週の急落に続き、8月19日(水)に再び暴落し(4.3%安)、このところの安値をつけた。そして、これに呼応して、欧米の株式は軒並み反落した。
この上海株の暴落に対して、為替では米ドルの反応は限定的。それに比べて、円のパフォーマンスは目立っている。
下の日足チャートが示すように、7月上旬以降、ユーロ/米ドルは何度も50日線にサポートされ、同線は依然上昇傾向を保っており、米ドルの弱さを示している。
(出所:米国FXCM)
■寝耳に水のショックでも英ポンドの下落は限定的だった
もう1つの事件は、8月19日に公表された、8月6日の英金融政策委員会(MPC)議事録の内容。そこでは英国中央銀行総裁を含み、3名の理事が500億ポンドに留まらず、750億ポンドまで資産購入額を拡大することを主張していたことがわかったのだ。
英国では量的緩和策が延長されるだけでなく、これからさらに拡大されていく可能性が大きいことがわかったため、市場にとってはまさに寝耳に水ほどのショックであったにもかかわらず、英ポンドの下落は限定的だった。
下のチャートは先に挙げたものと同じく50日、100日、200日移動平均線を表示した英ポンド/米ドルの日足だが、依然として50日移動平均線前後を保っていることがわかる。
■寝耳に水のショックでも英ポンドの下落は限定的だった
もう1つの事件は、8月19日に公表された、8月6日の英金融政策委員会(MPC)議事録の内容。そこでは英国中央銀行総裁を含み、3名の理事が500億ポンドに留まらず、750億ポンドまで資産購入額を拡大することを主張していたことがわかったのだ。
英国では量的緩和策が延長されるだけでなく、これからさらに拡大されていく可能性が大きいことがわかったため、市場にとってはまさに寝耳に水ほどのショックであったにもかかわらず、英ポンドの下落は限定的だった。
下のチャートは先に挙げたものと同じく50日、100日、200日移動平均線を表示した英ポンド/米ドルの日足だが、依然として50日移動平均線前後を保っていることがわかる。
つまり、本来、米ドルに対する好材料が出揃っていたにもかかわらず、米ドルの反騰は極めて弱く見えるため、米ドルのベアトレンド(下落トレンド)は継続される公算大と逆に言えるわけだ。
■頭でっかちにファンダメンタルズで判断するのは危険!
足もとでは、英ポンドに対する見通しはかなり暗くなっている。多くのエコノミストは英財政赤字の膨張と量的緩和策の拡大を根拠に、キング英国中央銀行(BOE)総裁の任期満了(2013年)まで英国の利上げなしと予測している。
だが、たびたび指摘しているように、エコノミストやアナリストならともかく、トレーダーはこのような「頭でっかち」な論争から何も得られるものはないし、突っ込み過ぎるとトレードの障害になるリスクが大きい。
実際、似たような論調は記憶に新しい。本コラムの初回(2009年2月6日)の一段落を引用しよう(「口々に円高予想が語られているが、今円を買うのは悪い円買いになる可能性」参照)。
「ファンダメンタルズ的には、目下英ポンドにプラスの材料がまったく見当たらないだけに、英ポンドはいいパラメーターとなろう。換言すれば、英ポンドさえ対ドルの反発があれば、ドル全体が下げる構造にあると判断できる。実際、1月23日の安値から英ポンドは反発している」
ご存知のように、当時も英国の量的緩和策を根拠に、英ポンド/米ドルと英ポンド/円の暴落を予測する声が主流だったが、年初来の安値から、英ポンドは対米ドルでは一時3500pips超、対円では4400pips超の上昇幅を達成した。
頭でっかちなファンダメンタルズでの判断では、とてもついていけず、逆に大損していただろう。
となると、ここで再びこの言葉を強調しておきたい。繰り返しとなるが、ファンダメンタルズ的には、目下英ポンドにプラスの材料がまったく見当たらないだけに、英ポンドはいいパラメーターとなる。要するに、英ポンドの下落が見られなければ、米ドルの反騰も時期尚早だ。
■頭でっかちにファンダメンタルズで判断するのは危険!
足もとでは、英ポンドに対する見通しはかなり暗くなっている。多くのエコノミストは英財政赤字の膨張と量的緩和策の拡大を根拠に、キング英国中央銀行(BOE)総裁の任期満了(2013年)まで英国の利上げなしと予測している。
だが、たびたび指摘しているように、エコノミストやアナリストならともかく、トレーダーはこのような「頭でっかち」な論争から何も得られるものはないし、突っ込み過ぎるとトレードの障害になるリスクが大きい。
実際、似たような論調は記憶に新しい。本コラムの初回(2009年2月6日)の一段落を引用しよう(「口々に円高予想が語られているが、今円を買うのは悪い円買いになる可能性」参照)。
「ファンダメンタルズ的には、目下英ポンドにプラスの材料がまったく見当たらないだけに、英ポンドはいいパラメーターとなろう。換言すれば、英ポンドさえ対ドルの反発があれば、ドル全体が下げる構造にあると判断できる。実際、1月23日の安値から英ポンドは反発している」
ご存知のように、当時も英国の量的緩和策を根拠に、英ポンド/米ドルと英ポンド/円の暴落を予測する声が主流だったが、年初来の安値から、英ポンドは対米ドルでは一時3500pips超、対円では4400pips超の上昇幅を達成した。
頭でっかちなファンダメンタルズでの判断では、とてもついていけず、逆に大損していただろう。
となると、ここで再びこの言葉を強調しておきたい。繰り返しとなるが、ファンダメンタルズ的には、目下英ポンドにプラスの材料がまったく見当たらないだけに、英ポンドはいいパラメーターとなる。要するに、英ポンドの下落が見られなければ、米ドルの反騰も時期尚早だ。
(出所:米国FXCM)
■米ドル/円はなお上抜けする公算が高い!
一方、米ドル/円は、8月7日の高値から4円超の下げとなっており、どうやら円のほうが株式市場の軟調により敏感な反応を示しているようだ。
ただ、米ドル/円の下げは急速ではあったものの、市場における円高期待と予測の強さの割に、テクニカル的にはまだ正常な範囲に留まっていると思われる。
8月7日の高値は「ダマシ」という見方が多いが、その後の下落過程の値動きが「ウェッジ型」を形成していることを考えると、なお、上抜けする公算が高いとみる(ウェッジ型のパターンは当初動いた方向と反対の方向に抜ける確率が高い)。
この見通しが正しければ、4月高値から形成されていた「上昇フラッグ」の「フラッグ」の上抜けといった方向で上値余地はまだあることになる。
■米ドル/円はなお上抜けする公算が高い!
一方、米ドル/円は、8月7日の高値から4円超の下げとなっており、どうやら円のほうが株式市場の軟調により敏感な反応を示しているようだ。
ただ、米ドル/円の下げは急速ではあったものの、市場における円高期待と予測の強さの割に、テクニカル的にはまだ正常な範囲に留まっていると思われる。
8月7日の高値は「ダマシ」という見方が多いが、その後の下落過程の値動きが「ウェッジ型」を形成していることを考えると、なお、上抜けする公算が高いとみる(ウェッジ型のパターンは当初動いた方向と反対の方向に抜ける確率が高い)。
この見通しが正しければ、4月高値から形成されていた「上昇フラッグ」の「フラッグ」の上抜けといった方向で上値余地はまだあることになる。
(出所:米国FXCM)
ちなみに、米ドルの全面安が続く限り、米ドル/円の下値が限定されるといったロジックは依然有効であろう(「米雇用統計の結果がどうであっても、米ドル安の余地はまだ残っている!」などを参照)。
(8月21日 午後2:00記述)
ちなみに、米ドルの全面安が続く限り、米ドル/円の下値が限定されるといったロジックは依然有効であろう(「米雇用統計の結果がどうであっても、米ドル安の余地はまだ残っている!」などを参照)。
(8月21日 午後2:00記述)
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