昨日からドル/円が急上昇している。
この6月以降、長らく壁になっていた108.30~108.60円あたりを上抜けると、一時は109.90円あたりまで一気に駆け上っていった(その後、そこからやや調整しているが…)。
米ドル/円 1時間足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
このところ、吉田恒さんへ取材したシリーズをお届けしていた当コーナーだが、この急な動きを受け、今回は緊急にドル/円の見通しについて、ザイFXでもおなじみのマット今井さんに聞いてみた。
■ドル/円はどのようにして、壁を一気に突き破ったのか?
まずは、なんで、ドル/円は長い間壁になっていたところを一気に突き破ったのだろう?
「108.60円ぐらいは前回、6月の高値。ここがご承知のとおり、抵抗線になっていました。
108.30~108.60円あたりには日本の輸出企業のものすごくまとまった売り注文がたまっていたんですよ。昨日のドル高の流れはそれをすべて飲み込んだんですね。
さらに、108円台後半から109円台前半にはストップロスの買い注文がものすごくあった。つまり、108.60円ぐらいの手前に売りがたくさんあって、そこを上に抜けると今度はストップロスの買いがたくさんあるという構図になっていた。
だから、抜けたら、ポーンと一気に上がってしまったわけです」
このところ、吉田恒さんへ取材したシリーズをお届けしていた当コーナーだが、この急な動きを受け、今回は緊急にドル/円の見通しについて、ザイFXでもおなじみのマット今井さんに聞いてみた。
■ドル/円はどのようにして、壁を一気に突き破ったのか?
まずは、なんで、ドル/円は長い間壁になっていたところを一気に突き破ったのだろう?
「108.60円ぐらいは前回、6月の高値。ここがご承知のとおり、抵抗線になっていました。
108.30~108.60円あたりには日本の輸出企業のものすごくまとまった売り注文がたまっていたんですよ。昨日のドル高の流れはそれをすべて飲み込んだんですね。
さらに、108円台後半から109円台前半にはストップロスの買い注文がものすごくあった。つまり、108.60円ぐらいの手前に売りがたくさんあって、そこを上に抜けると今度はストップロスの買いがたくさんあるという構図になっていた。
だから、抜けたら、ポーンと一気に上がってしまったわけです」
米ドル/円 日足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■ドル高の流れを作ってきた要因は?
では、ドル高の流れを作ってきた要因は?
「これまでも言ってきたことですが、今年3月までドルはかなり下がりました。アメリカ経済が非常に悪いということはドル相場に相当織り込まれていたわけです。悲観的なことが織り込まれすぎているので、アメリカにちょっといい話が出ると、ドルは買い戻されやすい状況にありました。
そして、先日のFOMCでアメリカの金利据え置きが決まり、どうも年内はダラダラ行きそうだというムードになってきた。マーケットの目がアメリカ経済から少し離れつつあるんですね」
■ドル高の流れを作ってきた要因は?
では、ドル高の流れを作ってきた要因は?
「これまでも言ってきたことですが、今年3月までドルはかなり下がりました。アメリカ経済が非常に悪いということはドル相場に相当織り込まれていたわけです。悲観的なことが織り込まれすぎているので、アメリカにちょっといい話が出ると、ドルは買い戻されやすい状況にありました。
そして、先日のFOMCでアメリカの金利据え置きが決まり、どうも年内はダラダラ行きそうだというムードになってきた。マーケットの目がアメリカ経済から少し離れつつあるんですね」
「その一方、欧州や日本、豪州などの景気は悪くなってきています。日本でも先日、景気動向指数が発表され、内閣府は景気の基調判断を『悪化』に下方修正しましたよね。
最初はアメリカの景気が悪くなってドルが下がったわけですが、次に他国の景気が悪くなり始めている。それで、相対的にドルが買い戻されています。
だから、ドル/円も上がっていますが、ユーロ/ドル、ポンド/ドル、豪ドル/ドルなどでも直近でみんなドルは上がってるんですよ。いろんな通貨でドル高が進んでいるんです」
最初はアメリカの景気が悪くなってドルが下がったわけですが、次に他国の景気が悪くなり始めている。それで、相対的にドルが買い戻されています。
だから、ドル/円も上がっていますが、ユーロ/ドル、ポンド/ドル、豪ドル/ドルなどでも直近でみんなドルは上がってるんですよ。いろんな通貨でドル高が進んでいるんです」
米ドル VS 世界の通貨 日足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル VS 世界の通貨 日足)
つまり、「全体的にドル高になっている」わけだ。だから、ドル/円も上がるわけである。
■ここ1ヵ月出ている特殊な円売りとは?
そして、もう一つ、「特殊な円売りがここ1ヵ月ぐらい出てきている」と今井さんは言う。
それは、たとえば、以下のようなものだ。
・日本企業が海外進出するために外貨を買う
・外国の金融機関がサムライ債などを発行して、円で資金を調達。それを外貨に換える
・アジアの中央銀行が為替介入絡みでドル/円を買う
こういった「特殊な円売り要因」と先ほど述べた「全体的なドル高の流れ」がミックスされて、ドル/円でドルが上がっているというのが今井さんの解説だ。
■当面は108~110円のボックスとみる
では、今後のドル/円はどのように動くのか?
なかなか抜けなかった108円台後半を抜けてきたのだから、「保ち合い上放たれ」という形なわけで、ここからさらにドンドン上がっていくということはないだろうか?
「とりあえずは108~110円の動きでしょう」
昨日1日だけでそれに近いぐらい動いてしまっているのですが…。
「アメリカの景気がいいわけではないですから、上値は限られると思いますよ。当面は110円がメド。現状ではさらに111円、112円と積極的にドルが買い進まれる環境ではないですね。
今までもボックス相場だったわけですが、そのレンジが少し上方にシフトして、108~110円に変わったと思えばいいでしょう。
この後は環境次第。アメリカの経済指標などで、そんなに強い数字が出なくても、悪い数字が出なければ、この次は112円を目指すと思います」
では、112円を目指すのはいつ頃なのか?
「う~ん、環境次第なのですが…。アメリカが本当に大丈夫というムードになれば、9月にもそうなると思いますよ」
まとめよう。昨日、110円近くまで急上昇したドル/円だが、このままドンドン上がっていく環境にはなく、当面は108~110円のレンジというのが今井さんの見解。ただ、その後、経済指標の出方によっては、112円を目指す展開もあり得るとのことだ。
(ザイFX!編集部・井口稔)
つまり、「全体的にドル高になっている」わけだ。だから、ドル/円も上がるわけである。
■ここ1ヵ月出ている特殊な円売りとは?
そして、もう一つ、「特殊な円売りがここ1ヵ月ぐらい出てきている」と今井さんは言う。
それは、たとえば、以下のようなものだ。
・日本企業が海外進出するために外貨を買う
・外国の金融機関がサムライ債などを発行して、円で資金を調達。それを外貨に換える
・アジアの中央銀行が為替介入絡みでドル/円を買う
こういった「特殊な円売り要因」と先ほど述べた「全体的なドル高の流れ」がミックスされて、ドル/円でドルが上がっているというのが今井さんの解説だ。
■当面は108~110円のボックスとみる
では、今後のドル/円はどのように動くのか?
なかなか抜けなかった108円台後半を抜けてきたのだから、「保ち合い上放たれ」という形なわけで、ここからさらにドンドン上がっていくということはないだろうか?
「とりあえずは108~110円の動きでしょう」
昨日1日だけでそれに近いぐらい動いてしまっているのですが…。
「アメリカの景気がいいわけではないですから、上値は限られると思いますよ。当面は110円がメド。現状ではさらに111円、112円と積極的にドルが買い進まれる環境ではないですね。
今までもボックス相場だったわけですが、そのレンジが少し上方にシフトして、108~110円に変わったと思えばいいでしょう。
この後は環境次第。アメリカの経済指標などで、そんなに強い数字が出なくても、悪い数字が出なければ、この次は112円を目指すと思います」
では、112円を目指すのはいつ頃なのか?
「う~ん、環境次第なのですが…。アメリカが本当に大丈夫というムードになれば、9月にもそうなると思いますよ」
まとめよう。昨日、110円近くまで急上昇したドル/円だが、このままドンドン上がっていく環境にはなく、当面は108~110円のレンジというのが今井さんの見解。ただ、その後、経済指標の出方によっては、112円を目指す展開もあり得るとのことだ。
(ザイFX!編集部・井口稔)
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