先週のFOMCに続いたBOEの金融政策の変更が市場の思惑とズレてしまったことが、いまだに尾を引いている。ポンド金利に絡んだものがいっせいに低下するのは仕方がないにしても、ドル金利にまで影響を与えている。
これだけインフレ懸念が湧き出してきているのに、ドル金利、特に長期金利でその低下がめざましいのだ。これがドル安の呼び水になっている。ドル円はついに112円台まで下がってきたが、それでも達成感はまったくない。111.50辺りまで差し込んでも、あまりマーケットはショックを受けないだろう。
ポンド安に引きずられて、クロス円も全般的に安い。戻る局面があっても、それはロング勢の逃げの場所を与えるだけで、とても相場の頭は重い。結果として、何もしていない日本の通貨円がいちばん高いということになっている。BOEの利上げは4票差くらいで利上げが決定されていると思われていただけに、それが反対の結果となったということは、今後のBOEメンバーの発言が注目されるところとならざるをえない。
とくにベイリー総裁がタカ派だっただけに、彼の見解がどこでどう変わったのかに興味が集まるのである。完全に市場との対話ができていないことが露わになって居るだけに、市場の信頼を取り戻すためにも責任のある筋道の立った説明が求められるところである。
ところで東芝に続いてアメリカのゼネラル・エレクトリック社も事業の分社化を目指すことを表明した。どちらもここ最近は業績が振るわない代表みたいな会社のイメージが強い。とくにダウ平均の草創期から30社に選ばれているGEのダウ銘柄からの排除は、象徴的な出来事であった。アップルやグーグルとかのほうが米経済の現状を表しているということで、それは無理な話ではない。
すでにリーディングカンパニーとしての地位を失した東芝やGEなのだが、事業分割が最善の解決方法なのかどうかは結果を見るまではわからない。1990年代あたりでは異業種も合併して大型産業体となるべくコングロマリット化が大いにもてはやされることもあったのだ。それが苦しくなってきたからといって専門のブティック化を試みたところで、果たしてうまくいくのかどうか。
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