為替マーケットは保ち合いの様相を強めている。米ドル/円は上値突破に失敗したものの、下値も限定され、他の通貨ペアと同様、総じてレンジ内の動きに留まっている。
米ドル/円 週足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
■起こるはずの米ドル暴落が起こらない相場の現実
ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルなどの通貨ペアの保ち合いは非常に興味深い現象だ。というのは、本来、米ドルの急落が続いてもおかしくない環境であるからだ。米ドルのショート筋(米ドルを売っている人たち)にとってはストレスが溜まる相場であるに違いない。
■起こるはずの米ドル暴落が起こらない相場の現実
ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルなどの通貨ペアの保ち合いは非常に興味深い現象だ。というのは、本来、米ドルの急落が続いてもおかしくない環境であるからだ。米ドルのショート筋(米ドルを売っている人たち)にとってはストレスが溜まる相場であるに違いない。
(出所:米国FXCM)
米ドルに対する懸念のもっとも直接的な原因はBRICs諸国によるIMF債の購入である。おおむね800億ドルの米国債売却が観測され、IMF債の購入資金にあてられることになるため、非常にネガティブな材料として、本来米ドルの暴落を引き起こすはずであった。
ところが、先々週から米ドル全体はむしろ徐々に底堅さを増しつつあり、ユーロをはじめとした、他の外貨の頭打ちといった印象さえ受ける。
米中密約説など政治がらみの憶測を含め、色々な解釈がなされているが、相場のことは相場に聞くもので、米ドルの行方に関する予測も慎重に見直す時期に差し掛かっているのかもしれない。
■米ドルに関するマイナス材料はすでに織り込み済み?
基本的には、相場は正しいと考えるべきだ。相場が市場参加者の予測と思惑の集大成である以上、あらゆる材料を消化済みであり、相場の反応自身が次の方向を示唆してくれることが多い。
従って、米ドルに関するマイナス材料が噴出してきた中、もしかしたらこれらはすでに目下の相場に織り込まれているのではないかと思う方が健全な考え方であろう。
そのように考えた上で、当方は米ドル全体が堅調な相場となって、今年後半には再び米ドル高に転じるのではないかと思っている。その鍵となるのは、実は米ドル/円の値動きである。
米ドルに対する懸念のもっとも直接的な原因はBRICs諸国によるIMF債の購入である。おおむね800億ドルの米国債売却が観測され、IMF債の購入資金にあてられることになるため、非常にネガティブな材料として、本来米ドルの暴落を引き起こすはずであった。
ところが、先々週から米ドル全体はむしろ徐々に底堅さを増しつつあり、ユーロをはじめとした、他の外貨の頭打ちといった印象さえ受ける。
米中密約説など政治がらみの憶測を含め、色々な解釈がなされているが、相場のことは相場に聞くもので、米ドルの行方に関する予測も慎重に見直す時期に差し掛かっているのかもしれない。
■米ドルに関するマイナス材料はすでに織り込み済み?
基本的には、相場は正しいと考えるべきだ。相場が市場参加者の予測と思惑の集大成である以上、あらゆる材料を消化済みであり、相場の反応自身が次の方向を示唆してくれることが多い。
従って、米ドルに関するマイナス材料が噴出してきた中、もしかしたらこれらはすでに目下の相場に織り込まれているのではないかと思う方が健全な考え方であろう。
そのように考えた上で、当方は米ドル全体が堅調な相場となって、今年後半には再び米ドル高に転じるのではないかと思っている。その鍵となるのは、実は米ドル/円の値動きである。
前回も指摘したように、米ドル/円は99.74円を突破できれば、106円台まで上昇する余地もある(「米ドル/円は『トライアングル』上放れと『三尊型』崩壊で、106円まで上昇する!?」参照)。
現時点では、このような値動きになるかどうかはわからないが、仮にそうなった場合、米ドル全体の強さをもたらす要因の一つになることも念頭に置くべきではないかと思う。
■円高から円安への転換はまず米ドル/円から始まった
昨年のリーマン・ショック以来、米ドルと円は資金の避難先として選好され、ともに買われたが、米ドルのパフォーマンスよりも円のパフォーマンスの方がより高かった。
キャリートレードの反動による円の買い戻しがクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)相場の暴落を引き起こし、それが米ドル/円を押し下げた要因であったが、パニック相場で資金が避難する先の受け皿としてより強く機能していたのは、米ドルよりも円であったと言える。
そして、今年3月以来の株高が象徴するように、投資環境の落ち着きと投資家マインドの改善につれ、米ドルと円はともに売られる展開となった。これは当然の成り行きであるが、注意していただきたいのは、年初来、このような環境の変化にいち早く反応したのは米ドル/円であったことだ。
つまり、円高から円安への転換はまず米ドル/円から始まり、その後クロス円相場を通じてメジャー通貨ペアに影響が及んだといった現象が観察されたのである。
米ドル/円の上昇はパニック相場からの脱出を象徴する値動きであった。
その後、ユーロを初め、パニック的に売られた外貨は米ドルに対して買い戻され、本日の相場に至った。
■年後半には一転して米ドル高が進むというシナリオ
一方、現時点では、すでに株高が進み、投資環境とマインドが随分改善されている。米ドル/円のさらなる高値更新があれば、まったく違う相場になる公算が高いと思う。
すなわち、パニック相場からの脱出による米ドル売りから、景気回復期待による米ドル買い相場への転換である。
言い換えれば、リーマン・ショック以来の米ドル買い、円買いは資金が避難する受け皿となった動きであり、今年、年初来の米ドル売り、円売りはその反動であった。これが、今後は本来のメカニズムに戻り、次の均衡を保つテーマを探る相場になるのではないかとみている。
従って、資金の避難先の受け皿としてより強く機能していた円の安値更新があれば、素直に景気回復期待による米ドル全体の上昇を示唆するシグナルと受け止めてもよいとみる。
だから、米ドル/円のさらなる高値更新があれば、米ドル全体の強さにつながり、年後半には一転して米ドル高が進む一方、ユーロ、英ポンド、豪ドルなど、その他の外貨安が進むというシナリオも念頭に置くべきであろう。
米ドル VS 主要通貨 日足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル VS 世界の通貨 日足)
もちろん、これはあくまで一つのシナリオであり、米ドル/円の上値突破、あるいは米ドル全体の上昇を確実視する根拠にはならない。が、遅くとも夏場を過ぎた頃には、当方の考えの正誤を含め、次なる相場の流れは鮮明になっているであろう。
もちろん、これはあくまで一つのシナリオであり、米ドル/円の上値突破、あるいは米ドル全体の上昇を確実視する根拠にはならない。が、遅くとも夏場を過ぎた頃には、当方の考えの正誤を含め、次なる相場の流れは鮮明になっているであろう。
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