(「持田有紀子さんに聞く相場見通し(2)ユーロ/ドルの1.6ドルはもう見られない!?」からつづく)
■マーケットを知るには、株を見ることが大事!
ポジションを持つ時は、レートがいくらというより、その日、その日のマーケットを見ながらトレーディングをするのがメインで、1日、1時間程度のスパンで、戦略を立てています。
今は、為替の動きを見る際には、株を見ることがいちばん大事ですね。
世界的に株価はだいぶ戻りましたけど、今後、株が下がりそうな悪い経済指標が出てきたり、景気にとって悪い話が出てきたり、またそのような雰囲気が出てきたりする時には、為替市場も要注意です。
特に、これから、米国企業の決算シーズンが本格化しますよね。米国企業に対するマーケットの業績予想と、実際の結果とのズレの部分、そのようなものの様子を見ながら、売ったりします。
■利上げ再開は、主要国ではなく周辺国から
——ここで、個人投資家に人気の高い、豪ドル/円のお話を聞かせてください。
日本人は、豪ドル/円が大好きですね。
ここ1~2年の金融政策で起こったことを振り返ると、最初に金利を下げたのは、先進国の中では、いちばん体力の弱いニュージーランドでした。
だから、一連の景気対策の出口戦略がどうなるかを考えた場合、主要国ではなく周辺から、たぶん金利が上がることになるでしょう。たとえば、ノルウェーとかスウェーデンとか、小さいところからです。
豪ドル/円 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 週足)
その意味では、豪ドル/円の最近の戻りは、そういったことを織り込みながら、上昇しているのだと思います。確かに、金利差で買われることはあり得る。
ドルも上げない、ユーロも上げないという状況で、いち早く金利が上がっていく可能性が高いので、豪ドルやニュージーランド・ドルは独歩高となる可能性はあります。
しかし、利上げを織り込みながら上昇しているのだから、「利上げします」と言った前後が上昇のピークとなることも、あるでしょう。
そこが売りどころです。商品市況が本格的に上がる状況でないと、本格的な上昇を期待するには無理があると思っています。
ユーロが1.6ドルまで上昇できないのと同じように、金利差で買われることはあっても、原油価格が100ドルを目指すような展開にならなければ、本格上昇は期待できません(※)。
ここが狙いどころだと考えています。
(※編集部注:持田さんへの取材は、10月5日に行いました。その翌日の6日に、豪州は0.25%の利上げを発表しています)
■オバマ政権は、結局、何もできていない
——株式市場の話に戻りますが、ニューヨークを含めて海外市場は堅調なのに、日本だけ、上値が重い感じがします。
日本だけは、財政支出を削っている方向であることの影響が出ているようです。
ニューヨークをはじめ、今の海外株式市場は高原状態です。これをどこまでキープできるかがカギで、逆に下がってきたところでは、ユーロ/米ドルもユーロ/円も売りですね。
ただし、どの程度下がるかとなると、それは材料次第です。
企業業績がイマイチだとか、そのようなものが材料になるのでしょうけれども、金融機関、特に、アメリカ国内は処理が進んでいて、悪材料は出尽くしたと見ています。
その意味では、豪ドル/円の最近の戻りは、そういったことを織り込みながら、上昇しているのだと思います。確かに、金利差で買われることはあり得る。
ドルも上げない、ユーロも上げないという状況で、いち早く金利が上がっていく可能性が高いので、豪ドルやニュージーランド・ドルは独歩高となる可能性はあります。
しかし、利上げを織り込みながら上昇しているのだから、「利上げします」と言った前後が上昇のピークとなることも、あるでしょう。
そこが売りどころです。商品市況が本格的に上がる状況でないと、本格的な上昇を期待するには無理があると思っています。
ユーロが1.6ドルまで上昇できないのと同じように、金利差で買われることはあっても、原油価格が100ドルを目指すような展開にならなければ、本格上昇は期待できません(※)。
ここが狙いどころだと考えています。
(※編集部注:持田さんへの取材は、10月5日に行いました。その翌日の6日に、豪州は0.25%の利上げを発表しています)
■オバマ政権は、結局、何もできていない
——株式市場の話に戻りますが、ニューヨークを含めて海外市場は堅調なのに、日本だけ、上値が重い感じがします。
日本だけは、財政支出を削っている方向であることの影響が出ているようです。
ニューヨークをはじめ、今の海外株式市場は高原状態です。これをどこまでキープできるかがカギで、逆に下がってきたところでは、ユーロ/米ドルもユーロ/円も売りですね。
ただし、どの程度下がるかとなると、それは材料次第です。
企業業績がイマイチだとか、そのようなものが材料になるのでしょうけれども、金融機関、特に、アメリカ国内は処理が進んでいて、悪材料は出尽くしたと見ています。

それでは何がきっかけになるかと言えば、まず、失業率が高く、今後も上昇していくというところから出てくる問題、そして、あまり問題が解決していないと見られる商業用不動産のあたりから、悪材料が出る可能性があると思います。
オバマ政権になって10カ月近く経ち、今は医療保険やアフガン増派など混乱していく方向にあります。政権が発足してから、結局、何もできていません。
■相場急変のきっかけは、債券暴落? 新興国ショック?
このインタビューの最初のほうで話題になった、米国の金利がポイントになることもあり得るでしょう(「持田有紀子さんに聞く相場見通し(1)為替レートって、実はいくらでも構わない!?」参照)。
米国の債券市場は、ずっと金利が低下していますが、落ち着いた動きをしています。為替市場もドル安は続いていますが、今年は昨年などと比べて、荒れ狂うような動きはしていません。
市場関係者の大半が、当面はあまり動きがないと思ってしまっているような時には、何かをきっかけに急激な動きをするというような場面にも出くわしやすいものです。
「出口戦略」の話がきっかけとなって、債券市場が荒れて、その影響をドル相場がもろに受けるというようなこともあるかもしれません。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)