昨日、日銀の黒田総裁が「最近の円安は急だ」という感じのことを発言して、瞬間的にドル円は20ポイントほど円高に向かった。そもそも市場では日銀は現在のレベルを容認するだけなのかという見方が強かった。それは金利会合の場でも、物価高にかかわらず金融緩和を続けると主張したからだ。インフレを放置するのかという批判が政財界からも出てきて、ようやく口先だけでも指摘を始めたようである。
しかし日銀は為替に関しては何の権限もない。通貨を扱っているから日本政府の国庫のお金を代わりに取り扱っているに過ぎない。日銀が介入したと言っても、日銀が自分の意思で為替市場で外貨を売買するわけではない。決定権者はあくまでも財務省であり、国際金融局である。
日銀はエージェントとしての機能しか果たしていない。それは安土城は誰が作ったのかという問題と同じである。織田信長が作ったのだが、彼は石を運んだり、壁土を塗ったりはしていない。あくまでも設計や資金繰りの責任があるというのと同じだ。そういうわけで財務省からのコメントのほうが為替相場にとっては大事なのである。
同様のことがアメリカにも言えて、FEDは通貨を取り扱うが、為替介入をしたりはしない。短期金利を決めるだけである。為替問題は財務省の管轄である。そこはお互い職掌を分かち合って、口を出さないようにしている。グリーンスパンは一度もドル相場についてはコメントしたことはないのだ。
昨日はアメリカでハト派だと目されていたブレイナード理事から、かなりホーキッシュな見解が示された。それでドル金利は上昇を余儀なくされ、ドル相場も全面高となった。ドル円は123円ちょうどの手前でもんでいたのだが、発言によって一気に123円台乗せ。そのまま飛んでしまった。その後はネバーカムバックである。
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