先週の金曜日は、米国株が今年最大の下げ幅を演じた。FEDの5月利上げでは50ベーシスを完全に織り込んだ上、6月には75ベーシスまであり得るとする見方が強まってきたからだ。その上、ECBも7月以降の利上げに前向きとなってきており、長期金利は上昇を続けた。
金利上昇に加えて中国のロックダウンによる景気後退も意識された。ウクライナ情勢やコロナ感染といった従来の市場を騒がせてきた問題はあまり相手にされなかったようだ。
そして今週にGAFAといった大どころの決算発表を控えているので、もっと期待先行で要りもしないのに株買いが進んで良さそうなものである。それが起こらないのはネットフリックスの影響が大きかったのではないだろうか。いくら将来見通しは明るいままだといっても、ロシア絡みで売上が減少するとなると株価は30%以上下がる。それならばたまらないと言ったところなのだろう。
ニューヨーク時間では確かにドル高に進んだ。ドル円は再び129円台に乗せたが、前回にやったときにあっさりと失敗してしまっているので、値持ちが悪かった。売りたい人びとの売りインタレストを満たすステージとなったようだ。
すぐにドル円は128円台のミドルまで後退した。これは同時に株安が進んでいたからでもある。ユーロドルも1.07台に沈んだのだが、まったく勢いがない。ドル一段高という感じを持てないのだ。
今週もドルの高値を意識する動きとなろう。短期金利の上昇に合わせて、10年ものの利回りが3%台に乗せてくるのも時間の問題だからだ。6月利上げが75ベーシスで確定するならば、それは3ヶ月間で100ベーシスの利上げを敢行したことになる。
ウクライナ紛争のために3月利上げが25ベーシスにとどまったことの穴埋めだと考えれば不自然さはない。インフレ対策のためのペースとしては十分である。今週は日銀会合も控えている。頑冥に緩和継続を主張する黒田総裁だが、思惑も先行しやすく円相場の乱高下には十分に注意しておきたい。
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