FOMCでは75ベーシスの利上げに慎重な姿勢を見せたことで、それを好感してドル金利は低下、そしてドル相場は下がって、株価は大きく上昇した。しかしそれは目先だけの事であった。どうせインフレ退治のためには年内に短期金利を最低でも3%近くまで持って行く必要がある。インフレ率がそれよりももっと大きいからだ。
もうペースは慎重になどと言ってはいられないのだ。だから今回は75ベーシスなくても、6月利上げとその次が50ベーシスずつやるというのが、マーケットのコンセンサスとなった。またパウエル議長の発言内容からも、それを匂わせる文言が見られた。それをじっくりと考えさせられるに至ったマーケットはかなり大きな調整を強いられることとなった。
ドル相場の反転はアジア時間から見られたが、ドル金利の反転・上昇、そして株価の下落はニューヨーク時間に入ってから顕著になった。ニューヨーク時間の午後からはそうした流れがより顕著になり、10年ものの利回りは3%を再び越えてきて、米国株も一段安することとなった。
しかしよくもドル円は129.00近辺から130円台のミドルまで反転したものである。やはりタイトニングの明確な将来像が見えていない現状ではドルの腰は強いのだと言えよう。ここから今さらドルショートにするわけにもいかない。
そういう思いがあるので、よりドル相場は底堅くなってしまうのだろう。あとはユーロドルの心理的な節目であるパリティの1が立ちはだかっている。これはだいぶ先のことであるようにも見えるが、言ってしまえばすぐかもしれない。
今夜は雇用統計である。FOMCの直後でもあるので、あまり雇用が市場の関心を集めていない。ただ失業率の低下が目立つようだと、それが賃金の上昇をもたらし、インフレ懸念を増幅させることになるかもしれない。FRBものんびりとしたペースを維持するわけにはいかなくなる。
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