金曜日は為替相場は狭いレンジにとどまった。ドル円は135円ちょうどを挟んでの小動き。ユーロドルに「至っては1.05台だけでの推移となった。ドル金利の上昇がとりあえずの一服を示しているからだろう。次のFOMCでも75ベーシスの追加利上げが見込まれているが、次回まで1ヶ月以上もまだ間があることを考えると、まだマーケットのトピックにするには早過ぎるだろう。
アメリカで人工中絶が禁止されることとなった。これは長年、アメリカ国内を分断してきた問題である。同時期に銃規制の強化法案が議会を通過したことを考え合わせれば、ちょうどタイミングよく保守派とリベラル派の主張していたことが合法化されたことになる。単体では立法化も困難だが、両方を採ることで双方をなだめるのだ。しかしそもそもが議論が分かれるような極端にも思える考えなので、しばらくすると矛盾が露呈する。
1918年の議会でウィルソン政権は婦人参政権と禁酒法の二つを通過させた。これはリベラル派と保守派の双方を満足させるものだったが、禁酒法のバカさ加減は現代のマスク騒動と同じくらい法律にするにはそぐわない。その後どうなったかは周知の通りだ。日本でも同様に1925年の国会で普通選挙法と同時に治安維持法が立法化された。これもその後の推移は自明である。
抱き合わせで合法化しているだけに、片方だけ間尺にあわないからといって廃止するわけにも行かない。今後のアメリカの国内世論がどうなるのか、とくに州政府の独自の動きが注目されてくることになるだろう。
それらに加えてインフレの加速。秋の中間選挙に向けて対立軸が鮮明になりつつある。マーケットには不安定要因が増えていることになり、コロナやウクライナ情勢が安定化しているのとは対照的である。ボラティリティだけ上がって、方向感は出ない展開となるのかもしれない。
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