ジョンソン首相が辞任したことでマーケットの混乱が見込まれたが、それよりも昼間に安倍首相が狙撃されたことのほうが大きな材料となった。日本は選挙中でもあるので注目度は高かったが、現職の総理大臣でもないわけだし、日本人は比較的に冷めているように見えた。過度に反応したのは海外の方であろう。海外の報道を見ると、日本にとってとても重要な人物が亡くなったという報道がなされている。
マーケットでの反応は限定的なものに限られた。確かに報道が出た瞬間は株価も下落したが大崩れするほどでもなく、夕方になって死亡が報道されたときも日経先物の押しは小さいものだった。むしろ雇用統計の良い結果を受けてドル金利が上昇する中、米国株は緩い動きを強いられているのに、日経先物は日中の高値圏で引けている。
為替相場では緊張を強いられたのは、安倍元首相が狙撃されてからだった。ユーロドルが1.01台でステイしていたものの、前日につけた今年の最安値である1.0145をダウンブレークしてくるのは、雇用統計を見てからだろうと考えられていた。その分手薄にもなっていたのだろうが、報道によってリスク回避の圧力が強まり、リスクに敏感なユーロ円がまずは下攻めを開始した。
すると耐えきれずにユーロドルもカバーベースでズルズルと値を切り下げていった。無論1.0145割れにはストップ注文も多かったのだろうが、ほぼ一直線に1.00台に突入した。ユーロ円も137円割れを喫している。
しかしユーロの重さがしつこかったのは夕方までであり、安部氏の死亡が報道された後はむしろユーロの買い戻しがきつくなった。雇用統計のなかの就業者数がとても伸びていたが、それは次回の利上げの正当性を確認するだけにとどまった。ドル金利が長期も短期も上がったのに、ユーロドルは買い戻し流れのほうが強くて、結果的には高値引け。
さて今週もユーロドルの下値攻めが意識される。アメリカではインフレ指標の発表も控えているのだが、何分にもユーロのテクニカルな面からからの下値模索が気にかかる。パリティも近づいてきていることだし。
日本時間 15時00分
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)