昨日は労働コストの前回発表分が上昇修正されて、それがドル金利の上昇を促した。すでに今週に入ってから昨年11月につけた短期金利の最高水準を上回ってきたことで、テクニカル的には金利上昇に弾みがついているかたちとなっている。経済データは理由にされているが、自然のポジション調整やポートフォリオの再構築などで、次の材料が出てくるまでは金利上昇は止まらないものであろう。
ドル金利の上昇に合わせて、ドル相場も堅調に推移した。ドル円は一時期、137円台に乗せてきている。ユーロドルが小動きなのは、ユーロの側にも金利をいっそう引き上げるだけの要因が潜んでいるからだ。そうした金利上昇の途中であっても、米国株は底堅く展開したといえよう。
そもそも足元で起こっているのは賃金インフレに見られる労働市場の逼迫であり、それに対処するためには伝統的にも金融引き締めを行うだけでなく、その状態を「辛抱強く」そして「我慢強く」継続しないといけないのだ。金融緩和の時には要りもしないのに「辛抱強く」やっていたのに。それゆえ近い将来の利下げなど、まだ考えても仕方のないことなのである。
今週はFEDメンバーの発言が相次いだが、来週からはFOMCを控えて発言を慎む期間に入る。これまで出てきたコメントを総合すると、やはり前回の25ベーシスポイントに利上げ幅を縮小したときよりも、完全にタカ派姿勢のほうにシフトしている。今更利上げ幅を増加させることができないのであれば、回数を多くするしかないだろう。5月で利上げ停止とみられていたものが、7月や9月まで続くと考える。
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