こんにちは、西原です。
今週も、荒れているユーロ/米ドル相場についてです。
先週に続き、今週も乱高下しているユーロ/米ドルですが、多くのヘッジファンドはこの流れにうまく対応できているようです。その理由は、重要なイベントを挟んでポジションをうまくコントロールしているためです。
それでは、先週の重要イベントであった12月2日(木)、ECB(欧州中央銀行)理事会後のトリシェ総裁の声明を振り返ってみましょう。
■「言葉より行動」に反応してユーロ/米ドルは急上昇した
先週のコラムで「トリシェ総裁が債務危機拡大に歯止めをかける意志を示唆すれば、ユーロ/米ドルはいったん調整局面に入る可能性がある」とご紹介しました(「止まらないユーロの迷走。オプション市場で年明けの1.2000ドルも視野に入ってきた!」を参照)。
ECB理事会後の会見で、トリシェ総裁はその意志を明確に表明しました。
マーケットが重要視したのが「国債買い入れプログラムは継続中だ」とのトリシェ総裁のコメントです。
ECBは金融政策の正常化を図る出口を模索していたわけですが、周辺国の国債価格の急落(利回りは上昇)により、軌道修正を余儀なくされたということになります。
加えて、このコメントと同時に、ECBはアイルランドとポルトガルの国債を強烈に購入しました。
ユーロ/米ドル 4時間足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
マーケットは、トリシェ総裁の「言葉より行動」というスタンスに対して即座に反応し、ユーロ/米ドルは12月2日(木)の1.30ドル台ミドルから、翌3日(金)には一時1.3438ドルまで急上昇しました。
■FOMCとECB理事会という大イベントが重要なカギに
さて、ECB理事会を挟んでユーロ/米ドルが乱高下する中で、友人のヘッジファンドがどのようなトレードをしたのかをご紹介しましょう。
まず、ECB理事会というイベントを控え、彼らはオプション以外のユーロ/米ドルのショート(売り持ち)を買い戻し、いったんスクエアにします(※)。
そして、トリシェ総裁のコメント後は、周辺国の国債価格急騰(利回りは急落)を横目に、一転してユーロ/米ドルをロング(買い持ち)にしました。
結果として、彼らはユーロ/米ドルの下落と急騰のどちらの流れにもうまく乗った形となりました。
こうしたトレードができたのは、彼らに特殊な情報があったからではありません。
11月3日のFOMC(米連邦公開市場委員会)というイベント後のユーロ/米ドルの流れを参考にしただけです。
振り返ってみると、11月3日のFOMCまで上昇を続けていたユーロ/米ドルは、FOMC終了と同時に反落を開始しました。
(※編集部注:「スクエア」とは買い持ちにも売り持ちにもポジションが片寄っていない状態。つまり、何もポジションを持っていない状態のこと)
マーケットは、トリシェ総裁の「言葉より行動」というスタンスに対して即座に反応し、ユーロ/米ドルは12月2日(木)の1.30ドル台ミドルから、翌3日(金)には一時1.3438ドルまで急上昇しました。
■FOMCとECB理事会という大イベントが重要なカギに
さて、ECB理事会を挟んでユーロ/米ドルが乱高下する中で、友人のヘッジファンドがどのようなトレードをしたのかをご紹介しましょう。
まず、ECB理事会というイベントを控え、彼らはオプション以外のユーロ/米ドルのショート(売り持ち)を買い戻し、いったんスクエアにします(※)。
そして、トリシェ総裁のコメント後は、周辺国の国債価格急騰(利回りは急落)を横目に、一転してユーロ/米ドルをロング(買い持ち)にしました。
結果として、彼らはユーロ/米ドルの下落と急騰のどちらの流れにもうまく乗った形となりました。
こうしたトレードができたのは、彼らに特殊な情報があったからではありません。
11月3日のFOMC(米連邦公開市場委員会)というイベント後のユーロ/米ドルの流れを参考にしただけです。
振り返ってみると、11月3日のFOMCまで上昇を続けていたユーロ/米ドルは、FOMC終了と同時に反落を開始しました。
(※編集部注:「スクエア」とは買い持ちにも売り持ちにもポジションが片寄っていない状態。つまり、何もポジションを持っていない状態のこと)
ユーロ/米ドル 日足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
今回も、ECB理事会というビッグイベントが、ユーロ/米ドルの下落を促進するのか、もしくは反落させるのか、重要なカギを握っていると考えていたわけです。
為替相場の値動きは、米国の雇用統計を筆頭に大きなイベントによって流れが変わることが多いです。重要なイベントには、十分に注意を払いたいところですね。
今回も、ECB理事会というビッグイベントが、ユーロ/米ドルの下落を促進するのか、もしくは反落させるのか、重要なカギを握っていると考えていたわけです。
為替相場の値動きは、米国の雇用統計を筆頭に大きなイベントによって流れが変わることが多いです。重要なイベントには、十分に注意を払いたいところですね。
■混乱は続くが、ユーロのフリーフォールはなさそう
先週末のECB理事会後のマーケットのコンセンサスは、「トリシェ総裁の決断により、ユーロ/米ドルの下落はいったん調整局面に入る」といったところです。
マーケットの一部には、ユーロ/米ドルは1.37ドルあたりまで上昇するのではという見方もありました。
ところが、今週に入ると、ユーロ圏から再び悪材料が噴出しています。
まず、格付け機関のムーディーズが「ハンガリー国債を2ノッチ(2段階)格下げ、見通しはネガティブ」としたことで、ハンガリーは「株安・債券安・通貨安」のトリプル安となっています。
加えて、ドイツのメルケル首相が先日、「ユーロ圏の共同債券発行はEU(欧州連合)条約上不可能である」との認識を示しました。
こうしたことが伝わったため、今週のユーロ/米ドルは週初の6日(月)の1.3438ドルを高値に続落しています。
先週末のECB理事会後のマーケットのコンセンサスは、「トリシェ総裁の決断により、ユーロ/米ドルの下落はいったん調整局面に入る」といったところです。
マーケットの一部には、ユーロ/米ドルは1.37ドルあたりまで上昇するのではという見方もありました。
ところが、今週に入ると、ユーロ圏から再び悪材料が噴出しています。
まず、格付け機関のムーディーズが「ハンガリー国債を2ノッチ(2段階)格下げ、見通しはネガティブ」としたことで、ハンガリーは「株安・債券安・通貨安」のトリプル安となっています。
加えて、ドイツのメルケル首相が先日、「ユーロ圏の共同債券発行はEU(欧州連合)条約上不可能である」との認識を示しました。
こうしたことが伝わったため、今週のユーロ/米ドルは週初の6日(月)の1.3438ドルを高値に続落しています。
ユーロ/米ドル 週足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足)
ただ、12月初旬のユーロ急落時における周辺国の国債の下落がすさまじく、友人によれば「陰の極」とも言える下落であったそうなので、当面はユーロ/米ドルのフリーフォールはなさそうです。
下に示した日足チャートでテクニカル面からチェックしてみると、先週2日(木)に回帰トレンドをブレイクして1.2969ドルまで急落したユーロ/米ドルですが、「トリシェコメント」によって再び回帰トレンドの中に押し戻されています。
ただ、12月初旬のユーロ急落時における周辺国の国債の下落がすさまじく、友人によれば「陰の極」とも言える下落であったそうなので、当面はユーロ/米ドルのフリーフォールはなさそうです。
下に示した日足チャートでテクニカル面からチェックしてみると、先週2日(木)に回帰トレンドをブレイクして1.2969ドルまで急落したユーロ/米ドルですが、「トリシェコメント」によって再び回帰トレンドの中に押し戻されています。
オプションマーケットでも、ファンド勢が先々週からユーロ/米ドルの下値のオプションを「1~3カ月、1.28~1.30ドル」で購入しているらしく、そのあたりが当面のサポートになりそうです。
■来年までにユーロ/米ドルが1.00ドルになるとの見方も!
最後は、ポルトガルについてです。
今週に入って、ユーロ/米ドルの反発局面では、リアルマネーの戻り売りが断続的に出てアタマを抑えており、上値は限定的となっています。
アイルランドの予算案が7日(火)に通過した後のマーケットの視線はポルトガルに移っており、次に救済を求めるのはポルトガル、そしてスペインという流れをマーケットは危惧しています。
世界最大の為替ヘッジファンドであるFXコンセプツのジョンテイラー会長は次のようにコメントしています(出所・ロイター)。
「欧州が実施した取り組みは不十分だ。アイルランドやギリシャに資金を貸すことはできない。これらの国は債務を積み上げているだけであり、返済は一段と困難になっている」
「これにより、ユーロは来年までにドルと等価水準になると予想する」
来年もユーロの動向に注目ですね。
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