先週に引き続き、今回もユーロについてです(「ソブリンリスクをテーマに迷走続くユーロ。年末に向けて1.3100ドルへ下落する展開か」を参照)。
ユーロ/米ドルは先週、ターゲットにしていた1.31ドル台を下回り、月末の11月30日には1.2969ドルまで急落。予想以上のスピードでユーロの下落が進行しています。
その背景を追ってみましょう。
■アイルランドからポルトガル、そしてスペインへ
今週初めにEU(欧州連合)によるアイルランド救済条件が決定し、金額は850億ユーロ、金利は5.8%という条件になりました。
これを受け、11月29日(月)のアジア市場では、一時1.3354ドルまでユーロ/米ドルが急騰。ただ、これが今週のユーロの高値になりました。

29日(月)の欧州市場に入ると、ユーロに関する悪材料が噴出し、まず、懸念されていたアングロ・アイリッシュ銀行についての報道が流れました。
アイルランド中央銀行のホノハン総裁は、国有化されたアングロ・アイリッシュ銀行について、当初の見込みよりも速いペースで閉鎖されるとの見通しを示したのです。
翌30日(火)には、フランス格下げのウワサや、ドイツのランデスバンクに流動性問題発生などの話も飛び出し、市場は疑心暗鬼状態に。
ポルトガル国債とスペイン国債の保証コストは過去最高を更新しており、アイルランド救済策の条件がまとまった後も、欧州の混乱は加速しています。
アイルランドに端を発したユーロの混迷はさらに深まり、市場の目はポルトガル、さらには、スペインまで波及してきています。
■スペインは欧州の債務危機に生息する「巨象」
今回、市場が動揺しているのは、アイルランドの混乱がスペインまで飛び火してきていることです。
スペインの経済規模は、ポルトガル、ギリシャ、アイルランドの3カ国を合わせたものの2倍近くにもなります。そのため、ユーロ全体に及ぼす影響は多大なものとなります。
米ニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授は29日、スペインは欧州の債務危機に生息する「巨象」だとして、スペインを救済する十分な資金はないかもしれないとコメントしています。
今週も、ユーロ圏のニュース、特にスペインに関する報道には要注意ですね。
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