それゆえ、ここ最近のユーロの「元気」のもう1つの「元」は「人民元」の「元」に由来していると見ているのだ(「急落から急反発したユーロの『元気』は2つの『元』に由来している!?」を参照)。
短期スパンではなく、長期的な視点においても、今後の中国政府の思惑と行動が確実に通貨システムそのものの変化に影響を及ぼすだろう。
基軸通貨をめぐる新たな通貨の興亡は、もはや「人民元」抜きでは語れないことを悟るべきだ。
■米ドル/円は86円台、ユーロ/円は116円台が見えてくるか
さて、最近の為替市場ではユーロ高が一層鮮明になりつつあるが、足元ではユーロ/米ドルよりも、ユーロ/円、ユーロ/英ポンド、ユーロ/豪ドルといったユーロクロス通貨ペアの切り返しが目立っている。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/英ポンド 日足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/豪ドル 日足)
その背景には、英国の2010年第4四半期GDPがマイナス成長となったこと、豪州の大洪水の発生、中国の金融引き締め懸念などがあり、これらが英ポンドや豪ドルなどの下落圧力となった。
また、それらとは対照的に、EUでインフレ懸念が高まっているために利上げ観測が台頭し、ユーロにかなりの優位性が浮上してきたと思われる。
ユーロ高は米ドルに対してよりも、ユーロクロス相場に主導される公算大と考える(ちなみに、ユーロ/米ドルはいったん調整モードに入る可能性が高いと見ているが…)。
さらに、格付け機関のS&Pが27日に、日本のソブリン格付けを格下げした衝撃がより大きい。
これまでは、EUのソブリンリスク(国家に対する信用リスク)によって「ユーロ安・円高」といった形で、日本サイドは受動的な影響しか受けなかったが、「対岸の火事」の火の粉が我が身に降りかかるリスクが高まっている。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
結論から言うと、円売りが一段進んでも不思議ではなく、米ドル/円は86円台、ユーロ/円は116円台が見えてくるだろう。
その詳細は、また次回に。
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