ギリシャの2年債と10年債の利回りは、ユーロ導入後の最高値を記録しており、ユーロ周辺国が混乱する中で、ユーロ/米ドルは一時1.4155ドルまで急落しています。
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しかし、そのような中でも、ECB(欧州中央銀行)政策委員会メンバーのウェリンク・オランダ中央銀行総裁は、「政策金利を1.25%に引き上げた4月7日(木)の決定は、投資家に向けて『極めて重要な』シグナルだった」とコメントしています。
つまり、ユーロ周辺国の混乱にも関わらず、ECBは依然としてHAWISH(タカ派)であり、追加利上げの可能性を示唆しているのです。
ユーロ周辺国のソブリンリスク(国家に対する信用リスク)はすでに織り込まれており、周辺国の悪材料は、単にユーロ/米ドルの押し目買いの場を提供しているといった流れになっています。
ヘッジファンドの友人も、「ユーロ周辺国(ギリシャ・アイルランド・ポルトガル)とスペイン、イタリーは別物」と指摘しています。
要するに、周辺国の混乱がスペインにさえ飛び火しなければ、ECBの利上げ観測は変わらず、ユーロの優位性は変わらないという意見です。
その相場観に基づいて先週のように、「コモディティ価格の下落がユーロ/米ドルの下落を誘因する局面」では、彼らは、ユーロ/米ドルのロング(買い持ち)を構築しているようです。
■次のユーロ/円のターゲットは125円か?
ユーロ/米ドルが反発する中、ユーロ/円も大きく値を上げています。
まず、4月20日(水)に発表された本邦3月通関貿易黒字が予想以上に縮小したことから、想定以上に早く本邦貿易収支の赤字化が到来するとの観測が広がりました。
海外勢の円安シナリオは変わらずです。
加えて、ユーロ周辺国の混乱にも関わらず、恐怖指数(VIX指数)はまったく上昇しておらず、一時は2007年来の15%割れという低水準に下落しています。
指数が市場の安定を示していることから、株価は堅調に推移し、クロス円は反発を開始したのです。
ユーロ/円は、一時120.39円をつけています。
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金(ゴールド)が史上最高値を更新する中、資源国通貨の豪ドル/円も88.61円まで上昇しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)
3月10日のコラムで書いた、中期的にユーロ/円が上昇トレンドにあるという見方に変わりはありません(「『トリシェ・ショック』でユーロに注目!金利面の魅力で最終的に117~118円へ」を参照)。
ユーロ/円は、ターゲットであった118円を大きく超えて上昇しています。
次のユーロ/円のターゲットは125円でしょうか?
(2011年4月21日 東京時間13:00執筆)
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