■米ドルの全面安が加速している
為替市場では、米ドルの全面安が進んでいる。ドルインデックスは2009年11月につけた安値の74.17を下回り、2008年8月以来の安値をつけている。
主要通貨は対米ドルで軒並み高値を更新しており、そのうち、豪ドルとスイスフランは事実上の史上最高値を再び更新している。
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米ドルの全面安が加速していることについて、テクニカル的な視点で見ると、年初来の下落トレンドの延長ととらえることができる。
一方、ファンダメンタルズ的な視点で見ると、次の2つの大きな材料が、今週の米ドルの急落をもたらしていると思っている。
まずは、有力格付け会社であるS&P(スタンダード&プアーズ)が米国のソブリン(国家に対する信用)見通しを修正したことだ。債務の見通しを従来の「安定的」から「ネガティブ」に引き下げ、今後2年間で、ソブリン格付けを引き下げる確率を3分の1と表明した。
2つ目は、中国がインフレ退治のために、「禁じ手」の人民元大幅切り上げを行うのではないかという市場のウワサだ。
■米ドル安のスピードは、リスク選好度しだい
もっとも、S&Pが米ソブリン見通しを修正したことがもたらす効果については、巷で言われるほど単純なものではない。
本来、この修正は米国債のマーケットにインパクトを与えるはずだ。ところが、国債価格が安定しているにもかかわらず、米国株は一時急落した。
それに伴って米ドルも一時は反発したが、その後、米国企業の決算が好調であることに支えられ、米国株は上昇を再開し、米ドルは再び売られている。
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ここで見逃せないのは、マーケットの反応が、株式のパフォーマンスと米ドルでは逆相関の形になっており、その傾向が一層強まっていることだ。
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