こんにちは。
早いもので、欧米ではイースター・ホリデーが終了し、日本ではゴールデン・ウィークがもうすぐ終了。2011年も後半戦に突入します。
■GW期間になって、資源国通貨が下落している
今年前半に急上昇していたものといえばコモディティで、特に、シルバー(銀)は一時、50ドル近くまで急騰しました。
ただ、金融市場には「sell in May and go away」という格言があります。
ヘッジファンドの半期決算は5月であり、彼らは、5月にある程度の利益確定を行う可能性が高いです。

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昨年もゴールデン・ウィーク中に、ロングポジション(買い持ち)が増大していたクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が急落しており、今年も資源国通貨を中心に同様の動きが見られています。
■ここまでは「sell in May and go away」の相場展開に
上昇を続けていたゴールド(金)とシルバーですが、5月に入ると徐々に上値が重くなりました。
そして、次のような報道が流れたために、コモディティの下落が加速しています。
「米ヘッジファンド、ソロス・ファンド・マネジメント(運用資産280億ドル=約2兆2700億円)は、金と銀の持ち高の大半を売却した。売却の多くは過去1カ月に実施されたという」(出所:5月4日付のBloomberg)
この報道をきっかけに商品市況の下落が鮮明となっており、ゴールドは1500ドルを割り込み、シルバーは2週間で30%も急落しています。
連れて資源国通貨も調整局面に入り、豪ドル/円は一時84.30円、NZドル/円は62.81円まで下落しました。

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昨年に引き続き、日本のゴールデン・ウィーク期間中にクロス円が急落。ここまでは「sell in May and go away」の相場展開となっています。
■利上げ観測が大幅に後退したユーロは調整局面入りか
資源国通貨に加えて、ユーロも5月5日(木)に反落を開始しました。
同日に行われたECB(欧州中央銀行)のトリシェ総裁記者会見で、「strong vigilance(強い警戒)」というトリシェコードが使用されなかったため、6月の利上げ予測が大幅に後退したのです(「ユーロ/円はいったん調整後に再上昇か?そのカギを握るトリシェ総裁の暗号を読め!」を参照)。
このニュースが流れると、ユーロ/米ドルは1.4900ドルから1.4508ドルまで、ユーロ/円は119.83円から116.44円まで急落しました。

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5月5日(木)のNY市場では、クロス円が一時全面安の展開となっています。
友人のヘッジファンドも、5月に入って豪ドル/米ドルのほとんどのポジションを利益確定させているとのこと。
そして、来月の利上げ予測が大幅に後退したユーロについても、目線は下になっているようです。

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ユーロ/米ドルは5月4日(水)に1.4940ドルまで上値を伸ばしており、彼らの目標値であった1.5000ドル近くまで上昇したため、いったん調整局面入りしたと考えている模様です。
■豪ドル/円は80~83円まで調整すれば、絶好の買い場か
ただ、中期での豪ドル/米ドルに対しての見方は変えていないようです。
上記のソロス・ファンドの報道も、「ソロス自身のコメントによって、コモディティや資源国通貨が下落した局面で、再びロングを再構築しようとしているのでは?」との見方です。
有名な債券ファンドであるPIMCOのユーロと豪ドルに対する見方が紹介されていたので、下に示しておきます。
「債券ファンド最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は、ユーロ相場の現状の強さはユーロ圏が混乱状態に陥り得るリスクを適切に反映していないとし、今後ユーロは下落するとの見通しを示した。
PIMCOの欧州為替責任者、トーマス・クレッシン氏(ミュンヘン在勤)は3日、ロンドンでのインタビューで、同社は高成長を達成し、債務水準が低く、中央銀行が引き締め策を取っているオーストラリアやシンガポール、韓国、スウェーデンなどの国の通貨を購入していることを明らかにした」(出所:5月4日付のBloomberg)
5月5日(木)の海外市場ではクロス円全般が急落したため、日本のメディアでは取り上げられていませんが、ユーロ/豪ドルも200ポイント近く急落しています。

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つまり、豪ドルは対ユーロでは急騰しているのです。
ただ、短期的にはコモディティ価格が依然軟調であるため、豪ドル/円はまだ反落の可能性が高いです。

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仮に、豪ドル/円が80~83円レベルまで調整すれば、そこは絶好の買い場となるのではないでしょうか?
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