■米国の住宅価格は2003年3月のレベルに戻った
アメリカの景気の先行きが怪しくなってきました。
まずは住宅市場ですが、相変わらず低迷が続いています(「米景気回復のカギは雇用環境と住宅市場。住宅着工が弱く、米ドルは戻り売り継続!」を参照)。
5月31日(火)に発表された全米20都市を対象にした3月分のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)/ケースシラー住宅価格指数は、前年同月比で3.6%の低下となりました。これは、2009年11月以来の大幅な低下です。
これで住宅価格は9カ月連続の低下となり、価格の水準で言うと、2003年3月のレベルに戻ってしまいました。
2003年といえば、ITバブルが弾け、「9・11同時多発テロ」の影響もあって景気が大きく落ち込んだ後、回復に向かう直前の時期でした。
■住宅市場は着工件数・販売件数ともに低迷している
住宅市場の低迷は、他の経済指標でも見られます。
4月分の住宅着工件数は前月の54万9000戸(年率換算)から52万3000戸に減少し、同月の建設許可件数は55万1000戸(年率換算)となり、前月の59万4000戸から、やはり減少しています。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)
また、住宅は販売面から見ても厳しい状況がわかります。
4月分の中古住宅販売件数は505万戸(年率換算)となり、前月の510万戸より減少しています。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)
唯一、4月分の新築住宅販売件数は32万3000戸(年率換算)で前月より上昇しており、明るい材料と言えそうです。
ただ、水準的には、2011年2月に直近の最低水準まで落ち込み、その後だけに、まだ低水準であることに変わりはありません。
■ISM製造業景況指数は低下傾向に
ここにきて、しっかりした推移を見せていた景況感も一気に冷え込んできました。
6月1日(水)に発表された5月分のISM製造業景況指数は53.5となり、市場予想の57.1を大きく割り込んでしまいました。この指標は50を上回っているかが1つのポイントで、好不況の分かれ目と見られています。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)
リーマン・ショックのあった2008年12月に33.3の最低水準まで落ち込んだ後は、ほぼ毎月のペースで上昇傾向を見せ、今年2月には61.4まで上昇しました。
しかし、その後は、3月が61.2、4月が60.4、5月が53.5となっていて、一転して低下傾向に入ってきています。おまけに水準も、また節目の50に近づいてきてしまっています。
■引き続き、米ドルの戻り売りを基本方針に
こうしたアメリカ景気の低迷を反映して、長期金利(10年もの国債の金利)がどんどん低下してきています。6月1日(水)時点では、アメリカの10年もの国債は、とうとう3%を割り込み、2.94%台になってしまいました。
本来であれば、ここまで長期金利が低下すると、米ドルはもっと下落するところです。
しかし、ユーロはギリシャ・ショックの影響をいまだに引きずっており、日本は東日本大震災で景気が落ち込み、貿易収支も悪化しているため、それほど「米ドル安」は進んでいません。
それでも、米ドルの上値はやはり重いと思いますので、基本線は米ドルの戻り売りという方針を続けていきたいと思います。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
このようなときはレンジを決めて、米ドルの戻り売りを基本方針としながら、こまかく「売り」や「買い」を続けるのがよいと思います。
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