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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

「QE3」の可能性は完全には消えていない。
発動される場合、タイミングを計る方法は?

2011年06月10日(金)17:44公開 (2011年06月10日(金)17:44更新)
陳満咲杜

FXトレーダー・羊飼いに聞く、初心者におすすめのFX口座の選び方とは?

■米ドル安がいったんスピード調整に入ったワケは?

 米ドルの全面安が続いているが、いったんスピード調整に入ったもようだ。

 ドルインデックスは73.50レベルで安値をつけてから反発しており、ユーロ/米ドルは1.4700ドルのブレイクに失敗し、米ドル/円は再び節目の80.00円を回復してきた。

ユーロ/米ドル 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足

米ドル/円 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足

 ドルインデックスをテクニカルの視点から見れば、5月4日(水)安値から5月23日(月)高値までの上昇幅に対する78.6%押しのレベルで下げ止まっているため、特にサプライズはない。

ドルインデックス 日足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM)

 だが、ファンダメンタルズの面から見れば、次の2点は見逃すことができない。

 1点目は、FRB(米連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長が6月7日(火)に行った講演で、米国の経済成長に懸念を示したものの、「QE3(量的緩和策第3弾)」について何ら示唆しなかったことで、マーケットのコンセンサスとして「QE3」への期待が大きく後退したことだ。

 そして2点目は、6月9日(木)に行われた会見で、ECB(欧州中央銀行)のトリシェ総裁が7月の利上げ実施を示唆したにもかかわらず、ユーロが買われるどころか、むしろ逆に売り込まれたことである。

「米ドル安」は一本調子には行かない

 前者に関しては、「QE3」を期待していた一部の投機筋が肩透かしを食らったことで、ショート(売り持ち)にしていた米ドルのポジションを買い戻したためと見られる。

 また、後者に関しては、やはり「ユーロ高」の土台がもろいことを改めて印象づけた格好となった

 言い換えれば、ユーロに関しては、早期利上げだけでは物足りず、継続的な利上げが行われなければ高値を追いたくないという市場心理が透けて見える

 ギリシャ問題を先送りできたとはいえ、「ユーロ高」の基盤が決して盤石ではないことが浮き彫りとなっている。

 また、想定できる範囲の金利差はすでに織り込まれ、「米ドル安」が一本調子に行かないことを示唆していると思う。

 もっとも、先週のコラムで挙げた米ドルの「四面楚歌」のうち、「QE3」は最大の「殺傷力」を持っているが、この政策が実行される可能性が遠のいたのだから、「米ドル安」が一服するのは当然の成り行きであろう「FRBは麻薬の誘惑から抜け出せなくなる。『QE3』に踏み切る可能性は小さくない!」を参照)

 また、米国債の債務上限引き上げに関する思惑も米ドルのアタマを抑えていたが、米国内では「政治的な駆け引き」と割り切る専門家も多く、デフォルト(債務不履行)の可能性は高くないといった見方が足元で強まっている。

 ゆえに、米ドルのショートポジション(売り持ち)の買い戻しを急ぐ投機筋の動きも納得できる。

FRBはウォール街の利益を守るのが任務!?

 ところで、「QE3」が実行される可能性が完全になくなったかと言えば、現時点では、必ずしもそうとは言い切れないと思っている。

 その最大の原因は、FRBという組織の本質を見極めなければわからないだろう。

 よくカン違いされて、FRBは米国の中央銀行みたいな組織で、政府機関であると思われがちだが、じつは、FRBはれっきとした私有銀行で、株主のほとんどはウォール街の有力銀行で占められている。

 この仕組みは英国の中央銀行であるBOE(イングランド銀行)と同様で、日本や中国をはじめとするアジア人の感覚では、なかなか理解しがたいものだ。

 「中銀の独立性」が叫ばれる昨今で、英米との本質的な違いに気づかず、まったく次元の違うイメージを持たれている方は多いのではないかと思う。

 余談だが、日銀の仕組みも、FRBと同様に国有ではなく、私有銀行であれば、例のバブル崩壊は避けられなかったとしても、もう少しマシな結果に着地したのではないかと思うときもある。

 このあたりの話はなかなか奥深いので、あまり深追いし過ぎるとキリがないので、話を戻すことに…。

 要するに、FRBという組織の性質上、FRBはウォール街の利益を守らなければならず、また、これまでも、そのような任務を果たし続けてきたのである。

 したがって、当面の「QE3」実施の可能性は遠のいたが、本格的な株安の局面が訪れた場合、FRBはまた量的緩和政策に踏み切るだろう。

先週のコラムでも指摘したように、「QE2(量的緩和政策第2弾)」が景気回復に作用しなかったとしても、株価対策としては十分な効果があった。そうであるならば、株主のために、FRBが量的緩和政策に踏み切ってもおかしくはない「FRBは麻薬の誘惑から抜け出せなくなる。『QE3』に踏み切る可能性は小さくない!」を参照)

「QE3」が発動されるタイミングを計る方法は?

当然のように、ウォール街も「あうんの呼吸」で、FRBの政策に対して援護射撃的な動きをしなければならない

 「QE1(量的緩和政策第1弾)」の発動前に米国株が下落したように、今回も5月に入ってから、米国株が反落してきた。

 これは、市場心理の悪化を演出することで、世論を巻き込んでFRBに「QE3」の実行を迫るものだ。

 さらに、株価の下落で消費マインドを冷え込ませ、「QE3」不要論をけん制する意味合いがあることも、米国内で「非主流」と呼ばれるエコノミストがよく指摘している。

 ゆえに、このようなロジックを信じていれば、これから「QE3」が発動されるタイミングを計る場合、その前兆として、株式市場の急落がもっとも有力なシグナルとなる

 もし、株の急落があれば、一時的にはリスク回避で米ドルが買われる。だが、「QE3」の実施で結局は米ドルが売られる。こういったシナリオを常に念頭におくべきである

 現時点では「QE3」の可能性は遠ざかったが、これで「米ドル安」のトレンドが終えんしたという判断は性急であろう。

米ドルの「思わぬ反発」が起こる可能性が浮上した!

 ところで、最近、我が家のスパイ猫「エリオット君」から届いた1つの情報がとても気になる。この情報が正しければ、マーケットに思わぬ波乱が引き起こされる可能性があり、一転して「米ドル高」を進行させる要素となり得るため、意識せざるを得ない。

 驚くなかれ、その情報はなんと、IMF(国際通貨基金)のストロスカーン前専務理事の逮捕と絡んでいる

 ストロスカーン氏が引き起こした「珍事件」は周知のとおりで、その詳説は省くが、この事件を聞いて、はじめから納得できない方は多いと思う。

 真相はどうであれ、なんと、あのプーチン・ロシア首相が「ストロスカーン氏は米国の情報機関にはめられた」と主張しているから、一層疑わしい。

 プーチン氏の主張によると、米国の情報機関がある事実を隠すため、ストロスカーン氏にワナを仕掛けて逮捕した。なぜなら、ストロスカーン氏はその事実の証拠を握っており、それを米国に迫っていたからだ。

 それでは、その事実とは何か? なぜ、米ドルの反発をもたらす可能性があるのか?

 それについては次回のコラムで明かすが、金(ゴールド)と大きな関連があることだけは書いておこう。

金&ドルインデックス 日足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM)

 つまり、今後の米ドルのトレンドを占うには、金の動向が最も重要なパラメーターであると意識せざるを得ないという蓋然性が強まる

 また、一時的に弱まっている金と米ドルの逆相関性が再び強まることも念頭におく必要があるだろう。

 言い換えれば、米ドルの「思わぬ反発」があれば、それは他ならぬ、金の暴落を意味することである

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西原宏一