■震災後の復興需要への期待でNZドル買いが続いている
さて、数カ月前から、スイスフランとともにファンド勢の注目を集めているのがNZドル/米ドルです。
今年2月のクライストチャーチの震災後、一時は大きく下落したNZドル/米ドルですが、連日で上昇して、一時は0.8573ドルの高値まで到達しました。
ニュージーランドの中央銀行であるRBNZ(NZ準備銀行)が今年後半以降の利上げを示唆したことなどを背景に、ファンド勢のみならず、アジアの中央銀行からも大量の資金が流入しているためのようです。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/米ドル 日足)
なお、このNZドル/米ドルの高騰の要因としては、震災後の復興需要も挙げられるでしょう。
■米ドル/円は76.25円へ向けてジワジワと下落する展開か
震災後の復興需要と言えば、日本も大きな復興需要があると予測されており、これは円にとってのポジティブファクターとなります。
加えて、投資資金があまりにもスイスフランに集中したため、もう1つの避難通貨である円へ投資資金が分散されるとの見方が増えつつあり、円が徐々に脚光を浴びてきています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
米ドル/円は先週79.00円を割り込み、78.47円まで下落して以降は固定相場かと疑うほど、こう着相場が続いています。
ただ、6月分の米国雇用統計の結果が発表されて以降、本邦輸出勢の米ドルに対する目線は明らかに下がってきています。
現在では、80.00円レベルでの「米ドル売り」の注文が徐々に増えてきているようで、これが米ドル/円の上値を限定的にしています。
米ドル/円は東日本大震災後にG7(先進7カ国)による協調介入が行われたこともあり、介入警戒感は根強く、急落することもないのですが、前述したような背景によって「円買い」の圧力が高まりつつあります。
マーケットでは、7月21日(木)のEU(欧州連合)首脳会議に注目が集まっていますが、欧州の債務問題は先送りが続いており、今回も劇的な改善は期待しづらいでしょう。
加えて、米国もdebt ceiling問題に揺れており、グローバルマーケットの混迷は深まっています。よって、避難通貨への資金シフトは今後も続きそうです。
このところ、避難通貨の役割を唯一演じていたスイスフランの状況が変わりつつある中、もう1つの避難通貨である円の上昇に注目が集まっています。
米ドル/円は引き続き、3月につけた76.25円の安値へ向けて、ジワジワと下落する展開が続くのではないでしょうか?
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は10日間の無料体験期間がありますので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)