■米ドル/円は76.25円に向けて、淡々と値を下げている
7月8日(金)発表の6月分の米国雇用統計をきっかけとした米ドル/円の下げ基調は変わりません。米ドル/円は本稿執筆時も77.80円レベルで推移し、78.00円を割り込んでいて、依然軟調な展開です。
足元の米ドル/円の下落は加速することはありませんが、前々回、前回とこのコラムでご紹介した76.25円のターゲットに向けて、淡々と値を下げている状況です(「『QE3』の可能性で海外勢のドル売りが加速。ドル/円は76.25円が視野に入った!?」、「マーケット混迷で避難通貨の円に脚光!ドル/円は76.25円へ向けジワジワ下落か」を参照)。

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これまでの円高の背景は、同じく避難通貨であるスイスフランの高騰に連れ高していた側面がありました。
これに加えて、米ドルの下落を鮮明にしたのは米国の「debt ceiling問題」(債務上限問題)の混迷でしょう。
■債務上限問題の混迷で、米ドルは弱含みか
米国の「debt ceiling問題」は解決の糸口が見えず、依然として不透明な状態です。
7月28日(木)になってもいまだに決着を見ておらず、民主・共和の両党の指導部が交渉を続けているもようです。
マーケット参加者のセンチメントは「騒いではいるが、さすがになんとかなるのでしょ?」といったものですが、問題が長期化して、米国債の「AAA」の格付けが失われるリスクも、ある程度想定しなければならない状況となってきました。
ギリシャの債務問題の際には、周辺国の国債価格の急落に対し、ヘッジとしてユーロ/米ドルをショート(売り持ち)にするといった動きが見られました。
同様に、米国の「debt ceiling問題」の長期化に備えて、何らかのヘッジ・オペレーションを行う必要を感じているファンドマネージャーも増えてきているもようです。
この状況下だと、米ドルは弱含みの展開にならざるを得ないといったところでしょうか?
■米ドルは全面安で、NZドル/米ドルは最高値を更新中
前回のコラムでもご紹介したように、ファンド勢はNZドル/米ドルに注目しています。足元では連日で最高値を更新しており、7月27日(水)には一時0.8767ドルまで高騰しました(「マーケット混迷で避難通貨の円に脚光!ドル/円は76.25円へ向けジワジワ下落か」を参照)。

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ファンド勢の中では、NZドル/米ドルがパリティ(1NZドル=1米ドル)まで上昇するといった見方が増えてきているようです。
豪州の第2四半期CPI(消費者物価指数)が強めの結果となったこともあり、豪ドル/米ドルは、ついに1.10ドル台に乗せてきました。

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ギリシャの債務問題が解決したとは言えないにもかかわらず、ユーロ/米ドルでさえ、7月27日(水)には一時1.4537ドルまで上昇しました。

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このように、米ドルは全面安の展開です。
■8月2日までは為替介入が行われない!?
3月の震災時の円高とは異なり、足元の状況は「主要通貨に対して米ドル全面安の展開」であるため、市場介入の可能性は限定的です。
7月28日(木)の午前中に、与謝野経済財政相が「円高阻止介入については、米国のdebt ceilingの行方を見極める必要があり、介入の1つのメドとしては交渉期限である8月2日(火)以降の可能性」と発言したことが伝えられました。
これは逆に言うと、8月2日(火)までの介入警戒感が後退したことになります。

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ともあれ、今週後半も米国の「debt ceiling問題」の行方に注目です。
米ドル/円は引き続き、加速することはありませんが、ジワジワと76.25円に向けて下落する可能性が濃厚ではないでしょうか?
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